2000 Fiscal Year Annual Research Report
未熟児における鉄動態に関する研究-特に遊離鉄によるラジカル障害の検討
Project/Area Number |
12770614
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
平野 量哉 大阪医科大学, 医学部, 助手 (90319541)
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Keywords | 超早期産児 / 酸化的ストレス / ラジカル / 鉄代謝 / Bleomycin-Detectable Iron(BDI) / Erythropoietin(sEPO) / Soluble Transferrin Receptor(sTf-R) |
Research Abstract |
胎児は胎内での成長の段階で臍帯を介して鉄の供給を受けることは不可欠であるが、臍帯血において鉄過剰状態示し、かつ酸化反応を起こしうるBleomycin-Detectable Iron(BDI)が存在することが認められた。このことは新生児では、成長発達の上で鉄欠乏傾向であるにもかかわらず、鉄過剰状態を示すと考えられる。今回我々は、臍帯血においてBDIと、組織への鉄取り込み能の指標としてSoluble Transferrin Receptor(sTf-R),鉄の主な貯蔵組織である赤血球合成を調節するSerum Erythropoietin(sEPO),鉄をTransferrin(Tf)に組み込み速やかに組織に取り込ませるFerroxidase activityとその主な活性をもつCeruloplasmin量を反映するものとして血中Cuの測定を行った。対象:正期産児(n=20)在胎週数.38.7±1.0W 出生時体重3015±523g早期産児(n=9)在胎週数.34.5±1.2W 出生時体重2057±293g 超早期産児(n=8)在胎週数.29.7±1.5W 出生時体重1322±400g 健常成人男性(n=5)結果:超早産児と正期産児ではBDIでは有意に超早産児で高値を示し、EPO,sTrfR,sCuは有意に超早産児で低値を示した。考案:このことは超早産児では組織での鉄の利用能、赤血球合成能は乏しく、また鉄イオンを介したラジカルの障害性を失わせ、速やかに組織に取り込まれるTrf結合鉄イオンを形成する能力も乏しいことを明らかにした。この結果は超早産未熟児の酸素的ストレスにたいする稀弱性に一致する結果であった。
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