2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヘキソサミン経路を介する遺伝子発現賦活機序の解明と糖尿病性大血管障害抑制への応用
Project/Area Number |
12770633
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横手 幸太郎 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (20312944)
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Keywords | オステオポンチン / 血小板由来増殖因子 / 糖尿病 / 動脈硬化 / プロテインキナーぜC / ヘキソサミン経路 / グルコサミン / 転写調節 |
Research Abstract |
オステオポンチン(以下OPN)と呼ばれる細胞外マトリクス蛋白は、培養ラット平滑筋細胞の遊走を濃度依存性に刺激し、血小板由来増殖因子によるDNA合成を増強させた。つまりOPNは、平滑筋細胞の遊走や増殖を刺激し、動脈壁における内膜平滑筋細胞の増生をもたらし、動脈硬化病変の形成に関与すると考えられた。糖尿病患者の前腕動脈では中膜平滑筋層に一致してOPN蛋白の発現がみられた。これに対して血糖正常の対照症例ではOPN発現を認めなかった。ラットを用いた検討でも、ストレプトゾトシンによる高血糖のもと、大動脈のOPNの発現がmRNA量、蛋白量とも増加した。平滑筋細胞を高濃度のブドウ糖存在下で培養すると上清へのOPN分泌が増加し、この増加はプロテインキナーゼC(PKC)阻害薬GF109203Xにより濃度依存的に抑制された。次にルシフェラーゼレポータープラスミドに組み込まれたラットOPN遺伝子5´プロモーター領域を培養ラット平滑筋細胞に遺伝子導入し、様々な濃度のブドウ糖による転写活性の変化を検討した。ブドウ糖濃度の上昇にともない、OPNプロモーターの転写活性が上昇した。L体のブドウ糖やマンニトールにより浸透圧を上昇させただけでは転写活性に変化が見られなかったことから、この効果はブドウ糖あるいはその代謝産物の特性に由来するものと考えられた。一方、OPNプロモーターの活性はへキソサミン経路によるブドウ糖代謝産物であるグルコサミンによっても刺激され、グルコサミンはOPN mRNAの発現も冗進させた。高ブドウ糖によるOPNプロモーター活性の上昇はこの経路の阻害剤であるアザセリンにより抑制された。この結果から、高ブドウ糖によるOPN遺伝子発現の増加はPKC経路およびヘキソサミン経路の両者を介すると考えられた。OPN遺伝子に存在するグルコサミン反応領域の詳細な解析を次年度の研究主題とする。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takemoto M, et al.: "Enhanced expression of osteopontin by high glucose : Involvement of osteopontin in diabetic macroangiopathy."Ann NY Acad Sci . 902. 357-363 (2000)
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[Publications] Takemoto M, et al.: "Enhanced expression of osteopontin in medial layer of forarm artery in patients with diabetes mellitus."Arteriosc Tromb Vasc Biol. 20. 624-628 (2000)
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[Publications] Kobayashi J, et al.: "Marked decrease in plasma apolipoprotein A-I and high density lipoprotein-cholesterol in a case with Werner syndrome."Clin Chim Acta. 293. 63-73 (2000)
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[Publications] Tamura K, et al.: "Increased atherogenesis in Otsuka Long-Evans Tokushima fatty rats before the onset of diabetes mellitus : association with overexpression of PDGF β-receptors in aortic. "Atherosclerosis . 149. 351-358 (2000)
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[Publications] Matsumoto T, et al.: "Differential interaction of CrkII adaptor protein with platelet-derived growth factor α- and β-receptors is determined by its internal tyrosine phosphorylation."Biochem Biophys Res Com. 270. 28-33 (2000)
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[Publications] 竹本稔 他.: "加齢ならびに高コレステロール血症の血中オステオポンチン濃度に及ぼす影響。"日老医誌. 36. 799-802 (2000)