2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヘキソサミン経路を介する遺伝子発現賦活機序の解明と糖尿病性大血管障害抑制への応用
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12770633
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横手 幸太郎 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (20312944)
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Keywords | オステオポンチン / 糖尿病 / 動脈硬化 / 血管平滑筋細胞 / ヘキソサミン経路 / グルコサミン / 転写調節 |
Research Abstract |
前年度の研究から、グルコースグルコサミン反応性領域(GGRE)の存在が明らかとなったラットオステオポンチン(以下OPN)遺伝子の5'プロモーター領域の詳細な解析を行った。プロモーター領域のdeletion constructsを順次培養平滑筋細胞へ導入してルシフェラーゼレポーターアッセイを行なった結果、-112から-62bpの領域にGGREの存在が示唆された。その構造はマウスやヒトのOPNプロモーターにも保存され、複数の既知のコンセンサスモチーフを含有していた。そのうち、E-boxあるいはGC-richモチーフに変異を導入すると、高グルコースおよびグルコサミンによる転写活性の上昇が著しく損なわれた。このGGREモチーフを有する標識オリゴヌクレオチドを作製しゲルシフトアッセイを行なったところ、既知の転写因子であるUSF-1/2や、他の未同定蛋白が結合することがわかった。 HMG-CoA還元酵素阻害剤(以下スタチン)を培養平滑筋細胞に添加すると、その濃度依存的に、高グルコースによるOPN発現が蛋白レベル・mRNAレベルで著しく低下した。スタチンによるOPN発現抑制効果は、メバロン酸あるいはゲラニルゲラニルピロリン酸(以下GGP)の添加により、ほぼ完全にレスキューされた。したがって、内因性コレステロール合成経路においてGGPが産生され、その結果何らかの細胞内蛋白がゲラニルゲラニル化されることを介してOPN発現がポジティヴに制御されていると推察された。細胞内蛋白のゲラニルゲラニル化から最終的にOPN発現に至るシグナル伝達経路については、現在解析中である。ストレプトゾトシン惹起糖尿病ラットでは大動脈および腎においてOPNmRNAが過剰発現するが、in vivoでも、スタチンを経口投与すると、これを対照のレベルまで低下させることができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Takemoto M, et al.: "NK-104, a 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase inhibitor, reduces osteopontin expression by rat aortic smooth muscle cells"Br J Pharmacol. 133. 83-88 (2001)
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[Publications] Mori S, et al.: "Enhanced intra-abdominal visceral fat accumulation in patients with Werner syndrome"Int J Obesity Relat Metab Dis. 25. 292-295 (2001)
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[Publications] 横手幸太郎: "PDGFの生理機能と疾患治療への応用"Molecular Medicine. 38. 250-258 (2001)
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[Publications] 横手幸太郎, 他: "平滑筋細胞研究の新展開 -基礎から臨床へ-"細胞. 33. 326-327 (2001)
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[Publications] 宮澤恵二, 横手幸太郎, 宮園浩平: "新細胞増殖因子のバイオロジー"羊土社(東京). (2001)