2000 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病での単球のアポトーシス抑制と動脈硬化の進行に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
12770640
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
藤田 延也 自治医科大学, 医学部, 助手 (80275693)
|
Keywords | 糖尿病 / 動脈硬化症 / 単球 / アポトーシス / Protein kinase C / 転写調節因子 / NF-κB / AP-1 |
Research Abstract |
単球性白血病由来のTHP-1培養細胞を用いて、高グルコース状態(HG ; 25.6mM glucose)と、osmotic controlとしてHGと同じ浸透圧に調節した正常グルコース状態(NG ; 5.6 mM glucose)にてそれぞれ培養し、単球細胞のアポトーシスの状態を比較検討した。Flow cytometryでは、THP-1細胞の多くはアポトーシス状態にあったが、NG群に比較してHG群ではより多くの細胞がG_1/S期に存在した。クロマチンDNAの断片化をみると、NG群に比較してHG群でクロマチンDNAの断片化が減少していた。これらの結果から、HG状態ではTHP-1細胞のアポトーシスが抑制されている可能性が示唆された。そこで次に、同細胞でのProtein kinase C(PKC)蛋白発現を検討すると、HG状態ではPKC isoformのうちPKCβIIの発現が優位に亢進していた。また、転写調節因子活性をGel shift assayで評価すると、nuclear factor(NF)-κBの転写活性はNG群とHG群の両群で亢進しているのに対して、activator protein(AP)-1の転写活性はHG群でのみ亢進していた。 以上の結果から、培養単球細胞THP-1細胞は、高グルコース状態ではPKCβIIの発現亢進が生じPKC-AP-1 pathwayの亢進が引き起こされ、アポトーシスが抑制されている可能性が示唆された。
|