2000 Fiscal Year Annual Research Report
下肢急性動脈閉塞後MNMS発症予防における低体温の意義
Project/Area Number |
12770658
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 拓自 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50286100)
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Keywords | 急性動脈閉塞 / MNMS / 低体温 / 人工心肺 |
Research Abstract |
急性動脈閉塞症モデルの作成としてビーグル犬約15kgを全身麻酔下に開腹し、腹部大動脈末端部で血流遮断。コントロールとして、当初の計画の3時間遮断4時間常温放置では、明らかな変化が出なかった為、延長し約6時間遮断、4時間常温放置にて行った。その結果、大腿動脈血の変化(1L酸素下全身麻酔)は、大腿動脈の拍動が全く無いにも拘わらず、遮断前→遮断6時間後で、PO2=234→256mmHg、PCO2=31.5→27.3mmHg、K3.6→2.9mmol/l、SaO2%は99.9→100と遮断前後で有意差なく、ヒトと違って、側副血行路の存在が大きく関与している可能性が示唆された。 しかし大腿静脈血では、遮断前→遮断6時間後→遮断解除後→解除4時間後で、SaO2%は84.4→53.6→87.6→51.3、PO2=48.2→31.5→55.4→33.0mmHg、PCO2=33.5→36.5→38.3→63.6mmHg、CPK146→505→527→698Iu/l、と遮断解除4時間では虚血の影響が有意に見られた。しかしながら、一方、尿中ミオグロビン尿、白血球数、クレアチニン値、LDH値などは遮断前から遮断解除4時間までを通して、この条件下では、有意な変化は見られず、また、この条件下で、犬の下肢は虚血に耐えうる状況(最終的には歩行可能、浮腫無しであった)であるが、犬のそのものが、約10時間以上に及ぶ麻酔の影響、及び度重なる採血により全身状態への侵襲が大きく回復にかなりの時間を要したため、さらに犬の侵襲の程度と、今後の実験上でより明確な差が示し得るような理想的なMNMSモデルとして今後どのくらいの時間設定の実験状況で進めて行くか現在、最終検討中である。この上で今後は、解除後の局所冷却群、かつ最終的な目標である人工心肺による単純冷却群、酸素化群へと実験を重ねていきたい。
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