2000 Fiscal Year Annual Research Report
組織工学を応用したバイオコラーゲンバイパス人工食道の開発と臨床応用
Project/Area Number |
12770701
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
保谷 芳行 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80229153)
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Keywords | 組織工学 / コラーゲン / バイパス人工食道 |
Research Abstract |
バイパス人工食道の基本的構造と素材に関する研究と試作品作製 今回の研究において,われわれが考案中であるCollagen coated polypropylene meshのスパイラルコイル付きバイパス人工食道に関して,吻合部を中心とした生体適合性と創傷治癒および人工食道内の円滑な食物の通過に関して,基本的構造と素材の検討を行った. バイパス人工食道の問題点としては,食物輸送に伴う消化管内腔での感染,嚥下運動および蠕動運動によって生じる内圧上昇からの縫合不全,生体組織と人工食道の縫合部創傷治癒遅延による縫合不全,吻合部狭窄,異種材料による組織反応などが考えられる.したがって,バイパス人工食道の重要なコンセブトは,吻合部を中心とした良好な生体適合性と創傷治癒および人工食道内の円滑な食物の通過である.以上のことから吻合部に使用される素材は,良好な上皮化を誘導する素材が望まれる.したがって,本研究ではcollagen coated polypropylene mesh素材を選択した.全身麻酔下の雑種成犬の左側頸部を切開し,頸部食道を遊離露出する.同部で食道壁を切開し,内腔粘膜面に吻合部の素材として考えているCollagen coated polypropylene meshを縫着する.食道および創部を閉鎖する.2週間後に同部を再切開し,縫着部の食道壁を摘出する.組織学的検索を行い、組織適合性,創傷治癒の程度および上皮化の有無を評価した.Collagen coated polypropylene mesh逢着の食道粘膜側から上皮細胞の浸潤が見られたが,mesh周囲からの上皮化はやや乏しく,mesh辺縁の食道粘膜の炎症性変化を認めた.したがって,軽度の異物感染反応は否定できないが,Collagen coatingの量および方法を検討し,より異物感染反応が少ない素材を検討中である.
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