2001 Fiscal Year Annual Research Report
新生児期におけるグルタチオンペルオキシダンゼの発言とその合成能の変化
Project/Area Number |
12770719
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
上坂 孝彦 福井医科大学, 医学部, 助手 (00283177)
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Keywords | ラット / 新生児 / グルタチオンペルオキシダーゼ / 心臓 / 虚血再灌流 / 高酸素 |
Research Abstract |
新生児期心筋の虚血再灌流障害が成熟心筋に比べて強く出現することの原因を探るため、フリーラジカルスカベンジャーの一つであるグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)活性に注目し以下の実験を行った。 実験1:生後1日目(N群)、7日目(P群)、成熟ラット(A群)を用い、心筋内のグルタチオンペルオキシダーゼ活性と、その原料となるセレン濃度、セリン濃度を測定した。 その結果、セレンはN:4.95±2.03, P:4.98±2.03, A:4.34±1.69と有意差を認めず、セリンはN:24.88±3.28, P:17.00±1.19, A:6.40±0.73と全ての群間で有意差を認め、新生仔ラット心筋に高濃度で含まれていた。GPx活性はN:58.66±2.46, P:101.76±3.35, A:115.80±15.02とNとP、A間で有意差を認め、成熟ラットで高濃度に認めた。 以上により、胎児期は低酸素状態にありフリーラジカルの発生も少ないためGPx合成が低く、出生後酸素に暴露されることにより促進されるのではないかと考察された。 実験2:そこで生後1日目、3日目、7日目のラットを用い、コントロール群(C群)、低酸素、高酸素の負荷を加えた群(P群)、出生前1週間より妊娠ラットに対し高酸素負荷を行った群(O群)、O群に酸素負荷を加えた群(OP群)を作成し、GPx活性を測定した。 その結果、生後1日目ではC:58.66±2.46, P:62.54±2.70, O:64.20±2.58, OP:67.20±3.61、3日目ではC:87.24±1.42, P:90.05±2.82, O:94.92±4.44, OP:98.92±3.89とCに比べてO、OPで有意に上昇していた。生後7日目では有意差を認めなかった。 これらの結果、GPx合成は胎児期にはあまり合成されず、出生後合成が促進されることが示唆された。またさらに出生前に高酸素負荷を加えることにより、GPx合成が促進されることが示唆された。
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