2000 Fiscal Year Annual Research Report
外来性グルタミン酸受容体遺伝子の導入による大脳基底核におけるシナプス機能の変容
Project/Area Number |
12770744
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡辺 克成 群馬大学, 医学部, 助手 (10312886)
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Keywords | 大脳基底核 / パーキンソン病 / 視床下核 / 黒質 / 脳深部刺激 / グルタミン酸 / GABA |
Research Abstract |
最近になり、パーキンソン病の患者に対して視床下核(STN)の高頻度電気刺激術を行い、STNから大脳基底核出力細胞(黒質網様部,SNr)への過剰なグルタミン酸性の入力を機能的に遮断することで、良好な治療効果を得るという報告がされている。本研究課題において、変異型グルタミン酸受容体遺伝子のSNrへの導入によって、STN-SNrのシナプスに機能的遮断が生じるかどうかを調べるためには、STN刺激によるSNr細胞におけるシナプス応答を解析する必要がある。 生後10〜14日目のラット(20匹)を用い、STNとSNrを含む脳スライス標本(厚さ300μm)を作成した。脳スライス標本上のSTNを電気刺激し、SNr細胞におけるシナプス後電流をホールセル・パッチクランプ法を用いて記録した。グルタミン酸受容体及びGABA受容体の拮抗薬として、それぞれkynurenic acid (20μM)、picrotoxin(50μM)を使用し、記録用チェンバー内の潅流液に投与した。 30個のSNr細胞からSTN刺激による応答が記録された。STN刺激によってSNr細胞で記録されるシナプス後電流は、主にグルタミン酸性電流(27/30個)及びGABA性電流(21/30個)であった。kynurenic acidの投与によって、グルタミン酸性成分とGABA性成分の両者が抑制された。STNの高頻度電気刺激により、持続的な内向き電流が生ずるとともに応答の抑制が観察され、この現象は刺激間隔が短いほど増強する傾向にあった。 以上に結果から、STN刺激によってSNr細胞で記録されるシナプス後電流は、主にグルタミン酸性電流及びGABA性電流であり、GABA性電流は周囲のSNr細胞を介するdisynapticな入力由来と考えられた。高頻度STN刺激によって、グルタミン酸電流はdepolarizing blockingを示した。
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Research Products
(1 results)