2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770754
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
温 同春 愛媛大学, 医学部, 助手 (70284411)
|
Keywords | インターロイキン3 / Bcl-x_L / 脳卒中易発症高血圧自然発症ラット / 空間認知能 / 中大脳動脈 / 脳梗塞 / インターロイキン3受容体 |
Research Abstract |
私はこれまでペプチド性成長因子やサイトカインの虚血神経細胞保護作用につき研究を発展させ、その成果を国際誌に発表してきた(J.Exp.Med.,188,635-649,1998;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,4635-4640,1998;J.Cereb.Blood Flow Metab.,18,349-360,1998)。中でも、Bcl-x_L発現増強作用を有するインターロイキン3(IL-3)の虚血海馬保護作用は極めて強力で、スナネズミに前脳虚血を負荷した直後にIL-3を脳室内投与しても有意な海馬CA1錐体神経細胞保護作用が認められた(J.Exp.Med.,188,635-649,1998)。しかしながら、IL-3がスナネズミの前脳虚血モデル以外の脳虚血動物に対しても、顕著な脳組織保護効果を示すかどうかは不明である。そこで、脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SH-SPラット)の中大脳動脈皮質枝(MCA)を永久閉塞したのちに、IL-3を320ng/日の用量で脳室内へ28日間持続注入して同動物の空間認知能障害や大脳皮質梗塞巣が改善されるかどうかを調べた。しかし、予想に反してSH-SPラットのMCA永久閉塞モデルにおいて、外来性のIL-3は有意な効果を示さなかった。おそらく、MCAを永久閉塞されたSH-SPラットの大脳皮質では、内因性のIL-3が受容体と結合して神経細胞を保護するべく機能するため、外来性のIL-3を投与してもすでに受容体が枯渇して神経細胞保護作用が発揮されなかったと考えられる。
|