2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍に対するサイトカイン刺激マクロファージを利用したドキシフルリジン療法
Project/Area Number |
12770759
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
平野 宏文 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (00264416)
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Keywords | thymidine phosphorylase / macrophage / 5'-DFUR / 5-FU / chemotherapy / glioblastoma |
Research Abstract |
グリオブラストーマ内にthymidine phosphorylase(TP)が発現していることより,このTP活性を利用して抗腫瘍剤の前駆物質であるドキシフルリジン(5'-DFUR)を活性型の5-FUに変換させ,腫瘍治療に利用することを目的として研究を行っている. 1.グリオブラストーマの手術標本を免疫組織学的に検討することにより,TPを腫瘍内で主体的に発現している細胞は腫瘍内浸潤マクロファージであることが判明した.また,手術標本から得られた腫瘍細胞を培養系に移し,マクロファージを含まない培養腫瘍細胞におけるTPの発現をRT-PCRで検討した結果,グリオブラストーマ細胞自体もマクロファージに比して少ないながら,TPを発現していることが解った.また,グリオーマ細胞株,U-251MGを用いて腫瘍細胞のTPの誘導を観察した結果,低酸素環境,IFN-betaによる刺激で腫瘍細胞内のTP発現が亢進することが明らかとなった. 2.ヒト血液由来単球をM-CSF(Macrophage-Colony Stimulating Factor)刺激下に培養した場合,誘導されるマクロファージには自律的にTPの発現が認められた.この誘導マクロファージを腫瘍細胞と共培養した場合,培地に5'-DFURを添加すると腫瘍細胞の増殖が抑制された.これは別に5'-DFUR添加培地でマクロファージを培養した培地上清を腫瘍細胞に加えた場合にも確認されることより,末梢血由来培養マクロファージで5'-DFURが5-FUに変換されたためと考えられた. 3.現在,脳腫瘍ラットモデルを作製し,培養マクロファージの移植と5'-DFURの併用療法の有効性について検討中である.
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