2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部悪性腫瘍におけるBMP発現とその機序に関する研究
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12770780
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
竹上 謙次 三重大学, 医学部, 助手 (40293790)
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Keywords | 骨軟部悪性腫瘍 / BMP / 悪性線維性組織球腫 / in situ hybridization(ISH) / BMP receptor |
Research Abstract |
今回、我々は軟部悪性線維性組織球腫(以下、MFH)におけるBMPの発現様式および予後予測因子を検討してきた。対象は原則として腫瘍広範切除術が行われており、補助療法として化学療法が行われていた軟部MFH30例であった。BMPの発現の調査方法は、手術時のパラフィン包埋組織を検定材料として使用し、ヒトBMP-2に対するモノクローナル抗体を用いた免疫染色を行い検討し、BMP陽性率を算出した。BMP発現の生命的予後に与える影響についての検討は、BMP陽性率30%以上の群(高陽性群)とBMP陽性率30%未満の群(低陽性群)の2群間のそれぞれの生存率をKaplan-Meier法にて検討した。結果、BMPの発現は全症例で認められた。BMPは主に紡錘形の未分化な腫瘍細胞の細胞質に局在して認められた。また、線維性基質及び間質には検出されなかった。陽性細胞率は1.9〜78.5%であった。生命的予後に関しては全体の5年生存率は53.7%であった。高陽性群の5年生存率は83.9%であり、低陽性群の29.5%と比較して有意に予後良好であった(p<0.05)。BMP陽性率と腫瘍の組織学的悪性度と相関関係があると思われ、また、予後因子に重要な影響を及ばすと思われる腫瘍の局在、大きさとも相関があるように思われた。一般的にMFHは化学療法があまり有効でないと認識されている軟部悪性腫瘍であり、今までは外科的治療もふまえてのそれら臨床的予後を判定することは困難とされてきた。今回BMPの発現度はこれら腫瘍の大きさ、深度、また組織の分化度とも相関していることが判明し、以上より、MFHにおけるBMPの発現量の測定が臨床的予後の予測因子となりうることが示唆され、有用であると考えられた。
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Research Products
(2 results)