2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770782
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤岡 宏幸 神戸大学, 医学部, 助手 (10252777)
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Keywords | 軟骨損傷 / 軟骨移植 |
Research Abstract |
【目的】自家骨軟骨移植は感染の危険性が低いことや軟骨下骨の骨癒合により移植片の安定性が確保されることなどの長所があり、関節軟骨損傷に対する治療方法の一つとして普及しつつある。本研究では自家骨軟骨移植術後の軟骨の変化を組織学的に解析した。 【方法】家兎の大腿骨顆間部より、直径7mm、深さ5mmの軟骨下骨を貫通して海綿骨に達する骨軟骨片をくりぬいて摘出した。摘出した骨軟骨片をそのまま元の部位に戻した。術後摘出した標本を、Safranin 0染色した後に観察した。 【結果】術後2週で軟骨下骨の骨癒合が得られ、移植片は生着していた。戻した骨軟骨片と周囲の関節軟骨との接合部でわずかな段差を認めたものの、骨軟骨片の表面は平滑であった。Safranin 0による染色性は保たれていたが、骨軟骨片の軟骨は周囲の健常軟骨よりも厚く、中間層や深層では細胞数が増加していた。その後24週まで、いずれの時点でも肉眼的には戻した骨軟骨片の表面は平滑であったが、組織学的には骨軟骨片の軟骨は周囲の健常軟骨より厚くなったままで、中間層や深層では細胞数が増加したままであった。 【考察】本研究では摘出した軟骨片をそのまま元の部位に戻す、即ち、軟骨欠損部に完全に一致した理想的な骨軟骨移植を行った場合の軟骨の組織学的変化を解析した。術後早期に軟骨下骨の骨癒合が認められ、骨軟骨片の表面は平滑に保たれ、移植片は生着していたことより、有効な軟骨移植術と考えられた。しかし、移植された骨軟骨片の軟骨層は周囲の健常軟骨より厚くなり、中間層や深層では細胞数が増加するという変化が見られた。このような報告はこれまでになく、今後、長期的な効果を評価するためには細胞数が増加する原因を究明することが軟骨修復に重要な要因を解明する上での課題と考えられた。
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Research Products
(1 results)