2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症関連骨折の予防(予測)を目的としたマススクリーニングシステムの確立
Project/Area Number |
12770784
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
片桐 浩史 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (60304226)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨密度 / 骨折 |
Research Abstract |
【対象および方法】 一般健診において、超音波測定装置Achillesによる骨密度測定を経年的に2回以上を受けた女性1399名(21-83歳)を対象とした。踵骨超音波指標stiffness値の年間変化率を目的変数として、生活習慣および骨折や他の疾患の既往歴、さらに出産回数、初潮・閉経年齢との重回帰分析を行った。また、経過観察期間中に新たに発生した骨折を調査し、ロジスティック解析を行い、骨折発生に関わる因子を検討した。 【結果】 (1)新規骨折の発生:経過観察中に骨折が発生したのは39名(2.8%)であり、骨折部位は足関節〜足が11名と最も多かった。 (2)骨密度変化率に影響を与える因子:stiffness値の年間変化率を目的変数とした重回帰分析では、年齢や初回のstiffness値が高いほどその後のstiffness値の減少が有意に大きいという結果であった。また、内分泌疾患の既往があると、その後stiffness値は高くなる傾向にあった。 (3)骨折発生に関わる因子:多重ロジスティック回帰を行うと、初回測定時のstiffness値、経過観察期間、腸の手術の既往が骨折発生に影響を与えていた。stiffness値が低いと骨折のリスクが有意に高かった。 【考察】 今回の研究において、stiffness値の年間変化率に大きな影響を与えていたのは年齢と初回測定時のstiffness値であり、これまでの報告によく一致していた。骨折発生に関しては今回骨折症例が少ないため、骨折の部位や種類に分けた検討は行っていないが、これらに関係なく、stiffnessの低値が骨折発生のリスクとなることが確認でき、骨量を上げることは骨折発生の危険度を減少させる効果があることが明らかとなった。さらに、今回の結果から腸の手術の既往が骨折の新規発生において重要なリスクファクターであることが判明した。したがって、骨健診において既往歴の把握はきわめて重要であり、骨健診では十分な問診と事後指導が大切であると思われた。
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