2000 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性吸入麻醉薬が肝細胞の糖代謝と肝細胞内カルシウム動態に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
12770820
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
楠 真二 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (20304438)
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Keywords | 肝細胞 / 糖代謝 / 揮発性吸入麻酔薬 / カルシウム / 培養細胞 |
Research Abstract |
好気的条件下で揮発性吸入麻酔薬は肝細胞のグルコースと乳酸の放出を促進させる.このとき肝細胞内のグリコーゲン量が減少することから,揮発性吸入麻酔薬はグリコーゲン分解と解糖を促進させるものと考えられる.しかし,嫌気的条件下での影響はまだ明確でない.今年度に行った実験では,より生体に近い形態で,揮発性吸入麻酔薬が肝細胞の糖代謝に及ぼす影響を調べるために,コラゲナーゼ還流法で分離したラットの培養肝細胞を用いて実験を行った. 実験はグルコース,インスリン,デキサメサゾンを含むL-15培地で24時間培養し,グルコース5mMを含むHanks液に培地を置換後,37℃で窒素および揮発性吸入麻酔薬であるハロタンとともに2時間混和した.ハロタンは上清中の濃度が0〜1000μMになるように気化器を用いて調整した.上清中のグルコース濃度,乳酸濃度とpH,肝細胞内グリコーゲン量を測定した.その結果,上清中のグルコース濃度,乳酸濃度,pH,肝細胞内グリコーゲン量にハロタンは濃度依存性の有意な影響を及ぼさなかった. 以上のことより,好気的条件と嫌気的条件ではハロタンは,肝細胞の糖代謝に及ぼす影響が異なることが示唆された. 従って次年度では,麻酔薬の種類と濃度を変えてさらに調べるとともに,揮発性吸入麻酔薬が肝細胞内のCa濃度変化に及ぼす影響を,蛍光試薬を用いて画像解析を行って調べる予定である.
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