2000 Fiscal Year Annual Research Report
セボフルランの内皮依存性血管弛緩抑制作用におけるペルオキシナイトライトの役割
Project/Area Number |
12770831
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩橋 静江 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10305766)
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Keywords | セボフルラン / 一酸化窒素 / ペルオキシナイトライト |
Research Abstract |
<等尺性張力変化測定> ペントバルビタール麻酔下に、ラットの胸部大動脈を摘出してリング標本を作成し、95%O_2、5%CO_2で飽和した37℃Krebs Ringer液中に至適張力を負荷して懸垂した後、その等尺性張力変化を測定する方法を用い、フェニレフリンで前収縮させた各血管標本において、ACh惹起弛緩反応におよぼすセボフルランの抑制作用を検討した。これについては、我々の教室において過去の報告と同様、抑制作用が確認された。さらにONOO^-スカベンジャーであるEbselen(10^<-4>M)およびQuercetin(10^<-5>M)で前処置した血管標本を用い、ACh惹起血管弛緩反応およびセボフルランの弛緩反応抑制作用の有無を確認したところ、セボフルランの抑制作用は、消失および減弱した。これらにより、両者におけるONOO^-の関与が明らかとなった。 また、フェニレフリン(3×10^<-7>M)で前収縮させた各血管標本において、ONOO^-ドナーであるSIN-1を用いて、ONOO^-惹起血管弛緩反応におよぼすセボフルランの抑制作用の有無を確認したところ、抑制作用は認められなかった。これにより、セボフルランのACh惹起血管弛緩抑制作用において、ONOO^-の不活化は関与しないことが明らかとなった。 <Radioimmunoassay(RI)法によるcyclic GMP量測定>前述の十間系終了後、各リング標本における血管平滑筋cyclicGMPの定量をRI法により測定したところ、セボフルレンによるcyclicGMP産生の減少が確認され、またその減少はEbselenおよびQuercetinで有意に回復した。またSIN-1惹起性弛緩反応ではセボフルランによりcyclicGMPの減少はみられなかった。以上よりセボフルランはONOO^--cGMP系弛緩に影響はないが、ONOO^-の産生を抑制していると考えられた。
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