2000 Fiscal Year Annual Research Report
冠微小循環に及ぼす虚血性再潅流傷害の特性と麻酔業の作用に関する研究
Project/Area Number |
12770832
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
角谷 哲也 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (00264896)
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Keywords | 酸素由来フリーラジカル / 揮発性麻酔薬 / 冠動脈 |
Research Abstract |
平成12年度研究計画の経過に関する報告 1.心筋スライス標本の作成 ペントバルビタール麻酔下にラットを開胸し、心拍動下に心臓を摘出し37℃に加温した酸素含有Krebs Ringer液中に保存した。当研究施設のリブラトーム(ニューロサイエンス社製)を用いて100〜250μmのスライス標本を作成した。スライス標本をローラーポンプを用いた定速潅流系に設置し、血管および血管径の変化を光学顕微鏡を用いたビデオシステムを用いて観察した。画像処理ソフトを用いてコンピュータに画像を取り込んだが、血管径の測定・処理ソフトに不備があり、現在検討中である。当実験系では約1〜2μm程度の細動脈の同定も可能であったため、標本に達する薬剤濃度の安定および血管径変化率の測定ソフトの改善が得られればデータ化できると考えている。 2.麻酔薬の作用の検討 血管径の解析を来年度に変更し、揮発性麻酔薬の特性について検討した。酸素由来フリーラジカルが関与した反応系でかつ冠動脈において重要であるニトログリセリン耐性モデル(10^<-5>M、30分間暴露)をラット摘出大動脈を用いて作成した。この実験系における各種揮発性麻酔薬(セボフルラン、イソフルラン各々1,2,3MAC)および各種のラジカルスカベンジャー(superoxide dismutase 150μM/L,lecithinized-SOD120μM/L,catalase 10^<-5>M,deferoxamine 10^<-5>M)を用いて検討した結果、セボフルランが血管平滑筋細胞内において酸素ラジカルを介した反応を増強することが示唆された。今回の結果は、現在ischemic preconditioningとともに注目されているanesthetic preconditioningの作用機序の解明にもつながるのではないかと期待している。
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