2000 Fiscal Year Annual Research Report
副賢腫瘍におけるテロメラーゼ活性測定の臨床的有用性についての検討
Project/Area Number |
12770863
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
平野 恭弘 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90283374)
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Keywords | テロメラ-ゼ / 副賢腫瘍 |
Research Abstract |
我々は副腎腫瘍の有するmalignant potentialがテロメラーゼ活性を測定することによって予測できる可能性があるか検討する目的に今回の研究期間内に当科で経験した副腎腫瘍手術検体を用いてテロメラーゼ活性を測定し、テロメラーゼ陽性症例について再発・転移の有無を追跡し臨床的有用性を明らかにしていこうと研究を行った。 今年度に当科で手術を受けた副腎腫瘍患者でinformed consentを得た上で、摘除した副腎腫瘍組織のテロメラーゼ活性をtelomerase repeat amplification protcolにより測定可能だったのは4症例、4検体だった。結果はいずれの検体もテロメラーゼ活性は陰性だった。また、病理組織学的診断も良性の副腎腫瘍との結果で、陽性症例についての追跡は不可能だった。 しかし、我々は副腎腫瘍におけるテロメラーゼ活性測定を1997年より行っており、病理組織学的に良性と診断されながら、テロメラーゼ活性は陽性だった症例を7例経験し、各種内分泌検査、画像検査によって経過観察をしている。病理組織学的に良性と診断されながら、テロメラーゼ活性は陽性だった7例中2例で再発・転移を認めた。1例は病理組織学的に皮質腺腫と診断されたが、局所再発を認め、化学療法を施行し完全緩解は得られたものの、他因死された。他の1例は褐色細胞腫で悪性所見を認めないと病理組織学的に診断されたが、局所再発および多発骨転移を認め化学療法等施行したが、2000年9月に死亡された。 こうした我々の経験からテロメラーゼ陽性腫瘍は病理組織学的に良性と診断されても悪性の経過をたどり得るので、厳重な経過観察が必要であること、病理組織学的にも良悪の鑑別がしばしば困難な副腎腫瘍でのテロメラーゼ活性測定の必要性が示唆された。 来年度も本研究を継続し他の臓器の悪性腫瘍での検討でみられるようなテロメラーゼ活性が単に悪性度の指標であるというだけでなく、良悪の鑑別のための補助的診断法として、あるいは術後のfollow upのパラメーターとして臨床的に有用であることを確認していく。
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