2000 Fiscal Year Annual Research Report
男性不妊患者における血液精巣関門の状態-タイト・ジャンクションの膜蛋白の発現と分布-
Project/Area Number |
12770865
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
諸井 誠司 京都大学, 医学研究科, 助手 (50314191)
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Keywords | 男性不妊症 / 血液精巣関門 / タイト・ジャンクション / セルトリ細胞 / クローディン |
Research Abstract |
いわゆる血液精巣関門の主な場は、精細管のセルトリ細胞間のタイト・ジャンクション(TJ)にあるといわれている。そのTJを形成する分子群の中で、クローディンと呼ばれている分子ファミリーが注目を集めている。その1つ、クローディン-11は既にOligodendrocyte-specific protein(OSP)として知られている膜蛋白だが、中枢神経系のみならず、精巣のセルトリ細胞間の局在が報告された。更に、OSPを欠失させたマウスにおいては、精巣でほとんど造精能が失われ、いわゆる'Sertoli cell only syndrome'の精細管像を呈したとの報告があった。 そこで、われわれは様々な程度に傷害された造精能を有する男性不妊患者の精巣組織を用いて、OSPの発現・分布を免疫組織学的手法で解析し、それらの患者の精液所見やその治療に対する成績と、精巣でのOSPの発現との相関を検討することを目的に、まず男性不妊患者の精巣組織の収集を行った。インフォームド・コンセントの得られた患者の精巣組織を主に精巣生検より採取し、また明らかに正常と思われる造精能を有する精巣組織は、外傷、腫瘍による摘除標本から採取した。これらの臨床症例の精液所見、治療に対する結果(妊娠、出産の有無)等も解析中である。 その一方で、やはりTJの膜蛋白の1つ、オクルディンの精巣での発現が種間で異なるということを以前報告したが、OSPに関しても種間の相違が無いか、OSPの細胞内領域を抗原として作成したポリクローナル抗体を用いて、マウス、モルモット、ヒトでの発現を検討した。結果的に、adultにおいてOSPはいずれの種においても発現していたが、prepubertal ageにおいてマウスとモルモットの発現時期に若干のずれがあることがわかった。 今後は、上記の不妊患者における発現の検討を行う予定である。
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