2000 Fiscal Year Annual Research Report
不安定膀胱の成因としての平滑筋細胞間情報伝達の変化に関する研究
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12770875
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
橋谷 光 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10315905)
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Keywords | 膀胱平滑筋 / ギャップ結合 / 細胞内カルシウム / 電気緊張電位 / 活動電位 / 細胞間情報伝達 |
Research Abstract |
モルモット膀胱平滑筋における自発興奮の発生と組織内伝搬について検討した。筋組織標本に2本のガラス微小電極を刺入して電位変化を同時測定すると,筋線維の長軸方向に配列した細胞間では自発活動電位は同期していたが,単軸方向では時間のずれが認められた。また細胞内通電による電気緊張電位の検討から,長さ定数は長軸方向で単軸方向の約35倍であった。細胞内カルシウム濃度の上昇は筋線維束の最外側の細胞群から発生し、長軸方向へは速やかに伝搬するが,短軸方向へは活動電位と同程度の時間のずれを伴って徐々に伝わることがわかった。自発活動電位とカルシウム濃度上昇はカルシウムチャネル阻害剤で消失するが,細胞内カルシウム貯蔵部位を枯渇させるような処置を施しても消失しなかったので,膀胱平滑筋の自発興奮は基本的に活動電位の細胞間伝搬によると考えられた。細胞内に注入した蛍光色素の拡がりの検討からも細胞間伝達の方向性について電気現象やカルシウム信号の結果を支持する結果が得られた。免疫組織学的検討によりギャップ結合の存在が示唆され,ギャップ結合阻害剤により電気緊張電位と蛍光色素の拡がりは著明に抑制された。以上の結果から,モルモット膀胱平滑筋ではギャップ結合を介した自発活動電位の伝搬がカルシウム信号の伝搬をもたらして組織内興奮伝達に関わっており、その方向性は筋線維長軸方向に比べ短軸方向で悪いことが示された。 べータ受容体作動薬であるイソプロテレノールは膀胱平滑筋を過分極させて活動電位の発生を抑制した。この過分極はカリウムチャネル阻害剤では抑制されなかったがウワバインで抑制され、また低カリウムおよび高カリウム外液でも抑制されたのでナトリウムポンプの関与が推定された。イソプロテレノールは自発カルシウム濃度上昇も抑制したが、この作用は細胞内カルシウム貯蔵部位を阻害しても見られたのでカルシウムポンプは関与していないと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Hashitani,H.Fukuta,H.Takano,M.F.Klemm & H.Suzuki: "Origin and propagation of spontaneous excitation in smooth muscle of the guinea-pig urinary bladder"Journal of Physiology. 530. 273-286 (2001)
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[Publications] Y.Nakahira,H.Hashitani,H.Fukuta,S.Sasaki,K.Kohri & H.Suzuki: "Effects of isoproterenol on spontaneous excitations in detrusor smooth muscle cells of the guinea-pig"Journal of Urology. (in press). (2001)