2001 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌における接着分子インテグリンα9の発現と骨転移との関連性
Project/Area Number |
12770881
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
三木 健太 東京慈恵会医科大学, 医学部・泌尿器科学教室, 助手 (10266687)
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Keywords | 前立腺癌 / 骨転移 / インテグリンα9 |
Research Abstract |
【背景・経緯】細胞表面に存在する接着分子インテグリンα9(以下α9)が骨組織に多く含まれるオステオポンチンをリガンドとし、またコラーゲンのフラグメントとの接着性も報告されている。これらの効果が前立腺癌骨転移において果たす役割の解明が求められる。【目的】前立腺癌骨転移におけるα9の効果を明らかにする。【方法】臨床組織および細胞株を用いた免疫組織化学によるα9蛋白質発現の確認を施行した。対象として前立腺癌30例、肥大症30例、および正常前立腺5例、また細胞株としてPC-3を用いた。同様の細胞株を用いたRT-PCR法によるα9mRNA発現の確認を施行した。【結果】免疫組織化学的検討の準備としてα9の細胞外ドメインに対する抗ウサギポリクローナル抗体と陽性コントロールの標本を作製し、臨床標本を収集して免疫染色での評価の準備を施行した。これらを用いて免疫染色の条件設定を施行した。固定法、包理法、抗体濃度、染色時間を変えて陽性コントロールで安定した染色性を得た。同様の条件で臨床標本で評価したところ29例(44.6%)において陽性染色を示し、21例(32.3%)においては細胞膜に強い染色性を示した。前立腺癌細胞株でのα9は蛋白質、mRNAのいずれも評価したPC-3では確認できなかった。【考察】α9の発現が細胞株では見られなかったが、組織においては半数近くの症例で陽性染色を示した。しかし、癌や肥大症などの疾患の存在との相関は不明であり、さらに検討標本数を増やして検討する必要がある。また、さらに他の前立腺細胞株での発現性を確認し、そのうちα9陽性細胞を今後の検討に用いる。すなわち、免疫沈降による骨基質蛋白質とα9の親和性の評価や、これらリガンドとの接着に伴う細胞運動性、蛋白分解酵素分泌の変化、シグナル伝達の活性化の評価を計画している。さらなる本研究の続行が求められる。
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