2000 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌内浸潤細胞におけるケモカイン受容体発現と腫瘍内免疫環境に関する基礎的解析
Project/Area Number |
12770883
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
近藤 恒徳 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50301544)
|
Keywords | 腎癌 / ケモカイン / ケモカイン受容体 / TIL / CXCR3 / CCR5 / IP-10 / MIP-1β |
Research Abstract |
はじめに、われわれは免疫組織染色に成功し、IP-10、MIP-1βが間質細胞、内皮細胞ではなく腎癌細胞より産生されることを確認したので報告しておく。ケモカイン受容体の検討では、13人の腎細胞癌患者より摘出した標本の腎癌組織および正常腎部より組織を採取し、total RNAを抽出。IP-10、MIP-1βの発現を半定量RT-PCR法にて検討した。また、腎癌組織および末梢血よりFicollを用いてリンパ球を抽出し、three-color flow cytometryにてケモカイン受容体のリンパ球上の発現量を検討した。各サブセットの腫瘍内および末梢血での比率はCD4^+CXCR3^+が18.0±8.8%vs9.7±3.7%、CD8^+CXCR3^+が28.9±20.2%vs8.5±5.2%、CD4^+CCR5^+が20.2±10.4%vs4.6±2.3%、CD8^+CCR5^+が29.9±19.3%vs10.4±3.4%でいずれのサブセットも、腫瘍内における比率が有意に高かった(p<0.05)。IP-10、MIP-1βの腫瘍特異的発現量(腫瘍部発現量-正常腎部発現量)と腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)特異的受容体発現量(TIL比率-末梢血比率)の相関性を検討すると、CD8^+CXCR3^+とIP-10(R=0.56、p=0.04)、CD8^+CCR5^+とMIP-1β(R=0.77、p=0.01)の間にそれぞれ正の相関関係が見られた。CD4^+CXCR3^+とIP-10、CD4^+CCR5^+とMIP-1βには有意な相関が見られなかった。今回の検討で、TIL上のCXCR3陽性細胞、CCR5陽性細胞の比率が高いことを確認した。両細胞ともにTh1型細胞で活性型リンパ球と考えられ、TILの免疫活性が高いことを裏付けた。またIP-10、MIP-1βともにその受容体を介して、CD8陽性T細胞を腫瘍内に誘導し、抗腫瘍効果を発揮している可能性が示唆された。
|