2000 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌におけるStreptococcus anginosusの関与
Project/Area Number |
12770885
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
桑原 勝孝 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (40322549)
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Keywords | 前立腺癌 / ストプトコッカス / PCR |
Research Abstract |
Streptococcus anginosus(S.anginosus)が食道、胃がんにおいて高頻度に検出することが報告された。Streptococcusは前立腺炎の起因菌であり、前立腺がんと前立腺炎はともに前立腺の辺縁領域を好発部位としている。そこで、前立腺がんと細菌感染の関係をPCR法を用いて検討した。対象は前立腺がん7例(低分化がん3例、中分化がん2例、高分化がん2例)、非がん9例(前立腺肥大8例、正常1例)である。それぞれの組織よりDNAを抽出。細菌に普遍的に存在する16S ribosomalgeneにS.anginosusに特異的なprimerとStreptococcus属を含めあらゆる菌を増幅するprimerの2種を設定し抽出したDNAを鋳型にPCR法による解析を行った。さらに後者のPCR産物をクローニングしシークエンス解析を行い一つの症例で10クローン以上の塩基配列を決定した。それら塩基配列をDNAデーターベースと比較した。その結果3例の前立腺がん症例と1例の前立腺肥大症例に両者による増幅を認めた。これらのがん症例はすべて低分化がんであった。がん症例ではS.salivarius(3/3症例、12/73クローン)、S.infantarius/bovis(2/3、14/73)、Enterococcus faecium(2/3、22/73)など、前立腺肥大症例ではS.salivarius、S.parasanguis、S.oralisなどが検出された。S.anginosusを含めStreptococcusは非がん部に比べがん部、特に低分化がんに高頻度に存在し、またがん部のみに存在する菌種もあり、前立腺がんとも何らかの関係を有する可能性が示唆された。
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