2001 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧自然発症ラット(SHR)の勃起機能に対する各種降圧剤の影響について
Project/Area Number |
12770886
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
岩本 勇作 大阪医科大学, 医学部, 助手 (30288716)
|
Keywords | 勃起不全 / 高血圧 / AT1受容体拮抗薬 |
Research Abstract |
高血圧患者は降圧剤投与を契機に勃起不全を発症する確率が高いことが明らかになってきた。しかし、最近にレニン-アンジオテンシン系を抑制するAT1受容体拮抗薬には臓器保護作用があり、勃起機能温存の面からも有利であることが話題になっている。そこでわれわれは、AT1受容体拮抗薬が高血圧患者の勃起機能に与える影響を調べる目的で、高血圧自然発症ラット(SHR)に同薬剤を投与し、海綿体神経電気刺激による勃起機能を検討した。生後34週からカンデサルタンシレキセチル10mg/kg/日を6週間投与したSHRと、無投薬の生後40週のSHRを用いた(各n=8)。ケタミン麻酔下、両側海綿体神経の電気刺激(上閾値電圧3V,パルス幅5mS,刺激頻度12Hz、1分間)を行い、陰茎海綿体内圧(ICP)と動脈血圧(BP)を測定した。また、陰茎背Aの血管壁の変化をエラスチカ・ワンギーソン染色で評価した。BPは、無投薬群は209.2±5.6mmHg、投薬群は126.4±3.2mmHg(P<0.01)、ICPは、無投薬群は80.3±15.4mmHg、投薬群は71.4±5.5mmHg(NS)、陰茎背Aの血管壁の厚さは、無投薬群は40.4±6.0μm、投薬群は21.3±4.0μmであった(p<0.01)。すなわち、AT1受容体拮抗薬によりBPは大きく下降したが、統計学的に勃起力の低下は認められなかった。われわれは、前年度の科研費の研究により、高血圧患者が降圧剤を服用して血圧降下を計ること自体、陰茎勃起の面からはかなり不利になる可能性が高いことを証明してきたが、AT1受容体拮抗薬は、陰茎血管のリモデリングを抑制することにより、陰茎勃起には有利であることが示唆された。
|