2000 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に伴うヒト子宮動脈内膜肥厚の発症進展過程に関する研究
Project/Area Number |
12770901
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
別府 正志 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10292963)
|
Keywords | NO / EDRF |
Research Abstract |
NOは、内皮細胞由来血管弛緩因子(endothelium-derived relaxing factor ; EDRF)の本体であるり、それ以外にも、血小板凝集の抑制作用、培養平滑筋細胞の増殖抑制作用、平滑筋増殖因子の一つであるendothelin-1(以下ET-1)産生/遊離抑制作用などを示すことが明らかとなっており、肥厚性血管病変の発症・進展・防御過程において重要な役割を担っていると考えられている。また、女性ホルモンレベルの変動と肥厚性血管病変との間には密接な関係があると考えられる。 過去の実験結果より、更年期以降にE2の血中濃度が減少すると、機能的ムスカリン性アセチルコリン受容体数が減少するとともに、合成酵素阻害物質が増加し、その為にEDRF/NO産生/遊離能の低下を招き、ET-1産生/遊離を促進し、内膜増殖を来たして動脈硬化が惹起されるものと考えている。本研究は、血管内膜増殖時のL-arginine-NO経路、内因性NO合成酵素阻害物質およびET-1の相互関連性について検討することによって、更年期以降の血管病変増加の原因解明と、さらに臨床応用を図ることを目的としている。 婦人科疾患による子宮摘出手術時に、本人の承諾の本に手術標本から子宮動脈上行枝を摘出した。また、手術直前に血中の女性ホルモンレベルを測定した。 得られた動脈を内皮細胞と平滑筋に分け、それぞれのホモジネートを作成し、高速液体クロマトグラフィーにより、内因性NO合成酵素阻害物質であるmonomethylarginineならびにdimethylarginineの血管内皮細胞における分布量を定量し、また、RIA法により平滑筋のET-1の定量を行った。また、内皮細胞でのNO合成能の指標としてcyclic GMP産生の変化をRIA法によって測定した。これらの結果により、内膜増殖の程度と血管内皮内のNO合成阻害物質・血管平滑筋のET-1とのクロストークにつきより詳細な検討が可能となり、その密接な関連が明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Bepp M,Obayash S Aso T,Goto M & Azuma H: "Active role of decreased NO production for increase in ET-1 and occurrence of atherosclerosis in human uterine arteries"Japan J. Pharmacol. 82(Suppl・1). 191 (2000)
-
[Publications] 尾林聡,別府正志,東洋,麻生武志: "17b-estradiol はPGI2およびNOの産生・遊離の亢進を介してヒト子宮動脈における内膜肥厚を抑制する。"日本産婦人科学会誌. 52・(2). 201 (2000)
-
[Publications] 別府正志,尾林聡,東洋,麻生武志: "閉経期ヒト子宮動脈においてCGMP産生能減少と血管壁EF-1含量増大が内膜肥厚の発症・進展に関与する。"日本産婦人科学会誌. 52・(2). 202 (2000)
-
[Publications] Obayashi S,Beppu M.ASO T.Goto M & Azuma H: "17b-Estradiol increases NO and PGI2 Production by the cultured human uterine arterles only in the histologicaly normal specimens"J.Cardiovasc Pharmacol.