Research Abstract |
1,感染に対する産科的介入と早産予防効果に関する研究。1)今回の研究で子宮頚管中IL-8高値例に対する頚管炎の治療に同意しなかった例では,IL-8高値群での34週未満早産率は1.5%と,IL-8正常群の値(0.19%)に比し有意に高率となった。2)治療に同意した例の34週未満早産率は0.33%と,前年度の値(0.68%)に比し有意に減少した。3)頚管長が20mm以下に短縮する例のうち,IL-8が高値例での34週未満早産率は55.6%と,IL-8が正常値の率(11.8%)に比し有意に高率であった。以上より,妊娠中期の頚管中IL-8の高値は,34週未満早産のrisk factorとなりえるが,頚管炎に対する治療を行えば,34週未満の早産を半減できる。また,頚管長が短縮し,かつIL-8が高値であれば,治療を行っても高率に34週未満の早産となることが判明した。2,マウス早産モデルを用いたCOX-2阻害剤の切迫早産治療応用に関する研究。1)COX-2阻害剤;Celecoxib(Cel)投与群の早産率は投与量0.3mg/kgで60.0%(6/10),1mg/kgで36.4%(4/11)と,非投与群の95.0%(19/20)に比してそれぞれ有意に改善された。2)LPS投与後4,10時間の子宮組織中PGF2α濃度(pg/mg uterus)は,Cel投与群でそれぞれ6.0±4.4,2.6±1.7であり,LPS単独投与群の25.5±11.4,19.3±11.3に比して有意に低下していた。PGE2濃度も同様にCel投与群で有意に低下していた。3)ラットを用いた実験で,Cel 100,10mg/kg投与群での胎仔動脈管収縮率は各々72±6%,63±6%と動脈管の著明な収縮を認めたが,1mg/kg投与では8±4%の収縮に留まった。Indomethacin100,10,1mg/kg投与による胎仔動脈管収縮率は,それぞれ78±4%,67±5%,30±5%であった。4)Cel投与後に出生した仔マウスの発育,妊孕性は正常であった。以上より,Celecoxibは感染誘発早産の治療に有効であるが,早産治療に使用する際には胎児動脈管の収縮に注意する必要があることが判明した。
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