2000 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表面ペプチド分解酵素の子宮内膜における発現と生理作用
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12770910
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安藤 寿夫 名古屋大学, 医学部, 助手 (90273234)
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Keywords | 子宮内膜 / ペプチド分解酵素 / オキシトシン / アンギオテンシン / 排卵 / 着床 / 月経 / 胚 |
Research Abstract |
胎盤性ロイシンアミノペプチダーゼ(P-LAP)とアミノペプチダーゼA(APA)は、いずれも胎盤絨毛において著明に発現する細胞表面酵素である。P-LAPはオキシトシン、バゾプレッシンなどを分解し、またAPAはアンギオテンシンIIをアンジオテンシンIIIに変換する。本年度の研究で以下の事実を明らかにした。 1.月経周期各期の子宮内膜組織より、蛋白・RNAを抽出し、P-LAPおよびAPAの蛋白レベル、RNAレベルでの存在を、immuonblot analys is、 enzyme assay、 RT-PCRにより明らかにした。 2.月経周期各期の子宮内膜組織切片を作成し、免疫組織染色とin situ hybridizationにより、P-LAPは子宮内膜上皮に、APAは上皮と間質の両方に局在することを明らかにした。 3.P-LAPの子宮内膜上皮における局在は、腺上皮において排卵後特徴的に出現する核下空胞とよばれる巨大なintracellular vesicleの膜に強い局在を示し、空胞の腺腔方向への移動と共にP-LAPの局在も腺腔に向かって移動を示すことを見出した。これにより、P-LAPが初期胚の着床に向けて核下空胞の移動と共に特徴的な局在を示し、基質となるオキシトシンなどのホルモンの分解を制御している可能性が強く示唆された。 4.APAの子宮内膜上皮における局在は、排卵までは上皮優位で、排卵後は間質に強い局在を示した。しかし、排卵後9日目頃より螺旋細動脈周囲に脱落膜化間質領域が出現すると、そこではAPAは消失し、脱落膜化の進行によりAPAの存在しない領域が拡大した。この事実は、螺旋細動脈周囲でアンギオテンシンIIのIIIへの変換がおこらず、アンギオテンシンIIの強い血管収縮作用が排卵後9日目を過ぎた時期からの子宮内膜組織表層の血流を低下させ、着床や月経発来に少なからぬ影響を及ぼしている可能性を強く示唆すると考えられた。 5.子宮内膜間質細胞を培養し、in vitroで脱落膜化を起こしてAPAの発現低下を明らかにした。
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Research Products
(1 results)