2000 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧症の予知・治療におけるアンジオテンシンIIタイプて受容体
Project/Area Number |
12770916
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松原 圭一 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (80263937)
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Keywords | PIH / アンジオテンシンII受容体 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 |
Research Abstract |
PIH病態形成におけるAT1・AT2の相互作用 (1)PIH患者・正常妊婦血清添加による培養血管内皮(HUVECs)・血管平滑筋細胞(VSMCs)由来AT1・AT2mRNAの変化:HUVECs・VSMCsにPIH患者・正常妊婦血清を添加し,multiplex RT-PCR法を用いて血清因子によるAT1・AT2 mRNA発現に与える影響について検討した. VSMCsでは正常妊婦・PIH患者血清いずれの添加でもAT1 mRNAが増加していたことからAIIに対するVSMCsの感受性は妊娠中亢進していると考えられた.しかし,正常妊婦の血圧は妊娠中期に低下するため,血圧抑制機構が必要である.我々は正常妊娠では血管内皮上のAT1/AT2比が低下することによって降圧に作用し,PIHでは血管内皮上のAT1/AT2比が増加することによって更にAIIによる昇圧反応が亢進していることを発見した.妊娠中の循環血液量の増加や血管平滑筋におけるAT1の増加など血圧上昇に傾いている母体の環境を血管内皮が修飾していると考えられる. (2)TNF-αによるHUVECs・VSMCsのAT1・AT2 mRNAに対する影響:HUVECsにおけるAT1・AT2 mRNAの発現に影響を与える血清因子として,PIH血中で高値を示すTNF-αに注目し,multiplex RT-PCR法によって検討した. TNF-αはAT1増加を介してAT2を低下させることによってPIHの病態形成に関与していることがわかった.PIHでは妊娠初期からTNF-αが増加していることが知られており,PIHの初期病変の形成に関与していると考えられているが,血管内皮に対してはAT1/AT2比の増加に作用することによって昇圧に作用していることが明らかになった.
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