2000 Fiscal Year Annual Research Report
CYP17遺伝子多型は婦人科疾患の発生、進展および治療効果に関与するか?
Project/Area Number |
12770919
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
池田 裕一郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (60315249)
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Keywords | CYP17遺伝子多型 / 月経発来 / 子宮体癌 |
Research Abstract |
シトクロームP450c17αをコードする遺伝子であるCYP17遺伝子のプロモーター領域内にはチミンからシトシンへ置換している多型がある。1997年Feigelsonらはこの多型はエストロゲンあるいはプロゲステロン産生と関連している報告した。そこで私どもは、まずこの遺伝子多型と月経発来年齢の関連性を検討した。正常月経周期を有する日本人女性を対象とした。同意を得て末梢白血球からDNAを抽出し、CYP17遺伝子のプロモーター領域をPCR法で増幅し、Msp A1で消化し多型を検出した。消化できないalleleをA1、消化できたalleleをA2とした。月経発来年齢は外来の問診で聴取し、12歳以下に発来した群と13歳以上に発来した群に分けた。A1/A1、A1/A2、A2/A2の頻度はそれぞれ32%、43%、25%であった。A1/A1では、A1/A2およびA2/A2に比べ月経発来年齢は高い傾向にあった(13.36±1.08,12.70±1.31,12.79±1.13)。また、A1/A1では、有意に13歳以上の月経発来の頻度が高かった(p=0.015)。つまり、CYP17遺伝子多型は月経発来年齢と関連する可能性を示唆する結果であった。ついで、CYP17遺伝子多型と子宮体癌の関係を検討した。子宮体癌限局群と進展群でA2 alleleの有無を検討したところ,A2 alleleを有していたものが11例中3例であるのに対し、進展群では8例中6例と有意に進展群でA2 alleleを有しているものの頻度が高かった(p=0.036)。以上の成績より、A2 alleleは子宮体癌の子宮外進展に関係する因子である可能性があると思われた。
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