2000 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞発育・排卵における細胞周期調節因子の役割と病因的意義
Project/Area Number |
12770932
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 百合恵 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00286543)
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Keywords | 顆粒膜細胞 / FSH / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
1.3週令の幼若ラットに3連日のdiethylstilbesterol刺激を加えた後に卵巣を摘出した。卵胞中より顆粒膜細胞を抽出して培養し、48時間無血清状態に置いてG1/S期に同調した。次いで種々の物質の添加し、添加24時間後の細胞周期の分布をフローサイトメトリーによって分析した。結果は以下の通りである。 a)Control(無添加)群の細胞周期分布:CV G1=6.7,G1期の割合は91.1%,S期の割合は3.5%であった。 b)forskolin+IBMX添加群:CV G1=7.2,G1期の割合は68.4%,S期の割合は17.8%であった。 c)PMA添加群:CV G1=4.4,G1期の割合は81.3%,S期の割合は9.5%であった。 d)10%FBS添加群:CV G1=9.8,G1期の割合は64.3%,S期の割合は20.5%であった。 e)FSH添加群:CV G1=7.0,G1期の割合は76.1%,S期の割合は13.6%であった。 f)FSH+Rp-cAMP添加群:CV G1=7.2,G1期の割合は67.6%,S期の割合は22.4%であった。 g)FSH+staurosporine添加群:CV G1=7.6,G1期の割合は86.2%,S期の割合は6.8%であった。 以上より、ラット培養顆粒膜細胞において、FSHがDNAの合成を促進する可能性が示唆された。また、その経路において、PKA pathwayのみにならず、PKC pathwayも関与していることが示唆された。 2.FSH刺激後の幼若ラット卵巣切片に対して、抗PCNAマウスmonoclonal抗体を用いて免疫組織染色を施行した。Control群のPCNA陽性率が10%であるのに対し、FSH刺激後24時間では陽性率が20%に増加した。 3.FSH刺激のDNA合成に対する影響を検討するため、トリチウムチミジンの取り込み実験を行った。幼若ラット培養顆粒膜細胞にFSH5ng/mlを加えて20時間後にトリチウムチミジンを添加し、4時間incubate後、Top counterにて測定を行った。その結果、約40%のトリチウムチミジン取り込みの増加が認められた。 以上より、FSH刺激が培養顆粒膜細胞のDNA合成を促進する可能性が示唆された。
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