2001 Fiscal Year Annual Research Report
細胞傷害性タンパクperforinの流産誘発因子としての可能性
Project/Area Number |
12770935
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
日下部 健 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20319536)
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Keywords | アポトーシス / インターロイキン2 / 栄養膜グリコーゲン細胞 / 子宮NK細胞 / 胎盤形成 / パーフォリン |
Research Abstract |
当初perforinの流産因子としての可能性について研究を行ってきたが、平成12年度の研究ではperforinと流産との関連性は低く感じられる成果を得た。むしろ、perforinを欠いた状態で体内IL-2濃度が上昇すると胎盤の形態異常が見られた。つまり、胎盤内perforinが正常な胎盤形成に関与することが示唆された。そこで平成13年度は形態形成中の胎盤組織に対するIL-2、perforinの作用について検討した。 マウス胎盤内のIL-2receptor β-chainの発現は妊娠初期を除く広範囲の時期で発現していた。また、妊娠マウスにIL-2を投与すると、perforin, granzyme、B, Fas ligandなどのアポトーシス関連因子の発現量が増加した。IL-2投与後の胎盤組織では、迷路部における栄養膜細胞に扁平化を主とする退行変化が見られた。IL-2投与は通常の実験マウスでは繁殖能力には影響しなかったが、perforinを遺伝的に欠損するPKOマウスでは胎児数の著明な減少をもたらした。無処置のPKO胎盤では、基底脱落膜に線維化を伴った退行変化が見られた。また、PKOにIL-2を投与すると栄養膜グリコーゲン細胞層が著明に肥厚し、基底脱落膜まで侵入していた。栄養膜グリコーゲン細胞のアポトーシス変化は、無処置のPKOマウスでは通常マウスと差異は無かったが、IL-2を投与したPKOではその割合が有意に減少した。 IL-2は栄養膜細胞に作用し、迷路部では退行変化、基底部の肥厚をもたらし、胎盤に形態異常を引き起こすことが考えられた。しかしながら、通常の胎盤ではperforinがIL-2の作用に拮抗し、栄養膜グリコーゲン細胞にアポトーシスを起こして正常な胎盤形成に関与することが示唆された。
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