2000 Fiscal Year Annual Research Report
卵子成熟時に獲得する哺乳類初期胚でのアポトーシス回避機構の解析
Project/Area Number |
12770936
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
鈴木 治 国立感染症研究所, 獣医科学部, 主任研究官 (70235935)
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Keywords | マウス / 卵子体外成熟 / 卵子発生能獲得 |
Research Abstract |
近交系のC57BL/6マウスを用いて卵子発育における発生能獲得の進行を調べた。生後18および24日齢の雌マウス各32匹より体外成熟で得られた卵核胞崩壊(GVBD)卵子(それぞれ684個、975個)のうち、胚盤胞期に達した胚の比率はそれぞれ2%、12%とともに低く、今後の解析が困難と判断した。そこで体外操作に強い交雑系のB6D2F1マウスの卵子を用い、生後16、17、18および24日齢の雌マウス各12匹より得たGVBD卵子(それぞれ253個、392個、408個、356個)のうち、胚盤胞期に達した胚の比率はそれぞれ3%、9%、50%、69%で、発生能の点で17日齢以前と18日齢、そして24日齢という3群に区分できた。しかし、18日齢と24日齢の差は有為ではあるものの20%程度であり、両者間で遺伝子発現の比較をするのは困難であると考えられたため、発生性に明確な差はあるが卵子収集率には差のない17日齢と24日齢の比較により発生能獲得に関与する遺伝子を検索した。17および24日齢のB6D2F1雌マウス16匹より得られたGVBD卵子(それぞれ、538個と531個)よりRNAを抽出し、遺伝子発現パターンの違いをDifferential display法により調べた。24日齢由来卵子には、17日齢由来卵子には見られないバンドが電気泳動像上に見られ、遺伝子発現の差異が確認できた。マウス卵胞内卵子の発生能獲得過程は系統差が大きく、予備データ収集時に用いたB6SJLF1も含めた解析が必要であると思われる。今後は、B6D2F1とB6SJLF1の2系統を用いて更に解析を進めるべきであろう。次年度では、differential displayで得られた特異的発現遺伝子の同定をsubtraction法も併用して行い、発生能獲得とアポトーシス関連遺伝子の関与を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)