2000 Fiscal Year Annual Research Report
内リンパ襄の機能解析による難聴・めまいのチャンネルレセプダー病の原因同定
Project/Area Number |
12770942
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須納瀬 弘 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (50261631)
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Keywords | メニエール病 / 内リンパ水腫 / イオンチャンネル / 細胞内カルシウム / 細胞内情報伝達係 |
Research Abstract |
内リンパ襄は様々な動物実験系におけるデータから、内耳における内リンパ液の代謝に重要な役割を担っていることが推測されている。特に内リンパ水腫との関連が推測されているメニエール病では、この器官の形態学的な異常が指摘されており、機能異常が病態と関わっている可能性が高い。本研究は、チャンネル病としてメニエール病をとらえる可能性をさぐるものである。 パッチクランプによる電流記録が行なえるよう、実験設備の設営をおこなった。その上で、砂ねずみをエーテル麻酔後に断頭し、内リンパ襄を顕微鏡下に摘出した。内リンパ襄内腔側に対してパッチクランプ法によるチャンネル電流記録ができるように標本を作成する技術を確立した。外リンパ類似の組成を持つ還流液中で、on-cell modeにてイオンチャンネルの活動による電流変化を記録した。現在、イオン組成を変えた電極内溶液を用いることなどにより、この電流を担うイオンの解析をおこなっているところである。 また、蛍光色素を用いて細胞内カルシウム濃度の測定とその変化を記録する実験系を準備した。細胞内カルシウムは多種の細胞においてイオン輸送に深く関与しており、内リンパ襄上皮でもカルシウムがチャンネル制御に関連している可能性が高い。本実験系を内リンパ襄に適用することで、細胞内カルシウムを制御する系を解析し、イオンチャンネルとの関連を検討したい。 聴神経腫瘍の症例が多く、側頭骨手術の世界的センターの一つであるイタリア共和国Gruppo Otologicoにおいて、聴神経腫瘍症例のヒト内リンパ襄標本の提供を受ける体制を作った。今後、同施設と協力の上、基礎実験で同定されたチャンネルとその制御系に関するヒトでの発現を組織化学的に解析する予定である。
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