2000 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下第1相から第2相への食塊の移動における舌根運動と物性の影響に関する研究
Project/Area Number |
12770950
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 剛士 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30313141)
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Keywords | 嚥下 / 透視 / 嚥下圧 / VMF |
Research Abstract |
圧測定と透視の同時記録検査(Video-manofluorography:VMF)により代表的な神経筋疾患の嚥下動態を評価したところ以下のような結果が得られた。 ALS:嚥下障害は口腔期が主体。舌の萎縮と麻痺により咽頭への送り込みが大きく障害される。嚥下反射はしばしば遅延するが、ひとたび嚥下反射が誘発されればその反射自体は正常である。圧は全体的に弱く、平坦な波形だが、食道入口部の平圧化も含め正常な圧パターンが保たれている。つまり有効な咽頭駆動力の低下がALSの嚥下障害の主体と考えられる。 Wallenberg:舌の片側麻痺や萎縮で口腔期の障害も起こるが、嚥下障害の主体は咽頭期の障害である。食道入口部圧に注目すると、静止圧は嚥下直前に異常上昇を示し、嚥下時陰圧化すべきところで食道入口部の圧が上がってしまうため、bolusの通過が妨げられている。食道入口部圧はさらに嚥下後も異常上昇を示し、嚥下終了後も圧がなかなか減少せず、spasticな収縮が起きているようであり、輪状咽頭筋の協調運動の異常が考えられる。 MD:舌及び咽頭収縮筋の筋力低下により嚥下障害が起こる。Bolusは下咽頭に貯留し、食道入口部が開いたときのみわずかに嚥下される。圧は輪状咽頭筋レベルの圧変化は小さいものの一応パターンは保たれている。一方中下咽頭特に中咽頭の圧は全く発生しておらず、有効な咽頭駆動力が得られていないことがわかった。
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