2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770966
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安里 亮 京都大学, 医学研究科, 助手 (70283603)
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Keywords | 蝸電図 / 語音刺激 / 時間情報 / 複合音 / low-pitch |
Research Abstract |
言語の内耳での時間情報処理を調べるため,語音刺激による蝸電図を測定した. 内耳性難聴者に対し有性子音を含むCV音節[ma][ba][da]を刺激音とする語音蝸電図を測定すると正常耳で認められる,破裂部の強いCAPが認められなかった.また,時間情報を強調するべく開発した時間窓ごとの音声圧縮変換(TD-1)によって上記CV音節を変換した刺激音で破裂部などの特徴的なCAPが認められるようになった.このことから内耳性難聴者では時間情報の面からも正常耳と異なる情報が中枢に向け送られていることが明らかになり,時間情報を強調する音声圧縮変換で変換すると内耳性難聴者でも正常耳の時間パターンでCAPが観察され,内耳からの出力が改善されたことを客観的に判断することができた.母音[a][I][u][e][o]を刺激音とした語音蝸電図では刺激音毎のCAPの違いは認められず,母音については時間情報の果たす役割は子音に比べ小さいであろうことが客観的に観察することができた. また,われわれはそれまで論争に決着がついていなかった複合音で聞こえるlow-pitchの原因も内耳で音声処理の特徴からくるものと考え,4000Hzと6000Hzを中心とした位相差100Hz〜600Hzのさまざまな複合音を作成し,正常耳で蝸電図を記録した.その結果,位相差に一致したCAPが出現する場合に聴覚心理学的にlow-pitchも聴取でき,CAPの出現しない場合には聴取できなかった.したがって,複合音におけるlow-pitchの聴取は内耳においてCAPの発生によるものであることがわかった.
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