2000 Fiscal Year Annual Research Report
新しい緑内障視野進行アルゴリズムの開発およびその検証
Project/Area Number |
12771012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
国松 志保 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80301563)
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Keywords | 視野障害進行判定法 / Simulationデータ / ROC曲線 |
Research Abstract |
緑内障の視野障害進行判定法を開発するに当たって、まず従来報告されている判定法の妥当性を検討した。開放隅角緑内障303例303眼のハンフリー自動視野計C30-2プログラムによる2ヶ月以内に測定した信頼度の高い2回繰り返し測定データを元に、視野変動のないsimulationデータを4000例作成し、また、臨床的に確実に視野障害進行が認められた94例105眼の経時観察データ(平均追跡期間7.5年)と合わせ、従来の方法の検出率、誤判定率を検討した。判定方法としてはMean Deviation(MD)slopeによる判定、個々のTotal Deviation(TD)変化による判定、個々のTD slopeによる判定(progressor法)、隣接2点のTD変化による判定、Advanced Glaucoma Intervention Studyで用いられた方法(AGIS法)などを使用し、ROC曲線を作成することにより比較した。Simulationデータによる解析の結果、個々のTDに基づいた判定は検出力は比較的高いものの特異度が低く、過去に報告された方法のα値(第1種の過誤を犯す確率)は0.2〜0.9と高かった。AGIS法の検出力・α値はそれぞれ0.467および0.0014であった。経時データによる解析でも同様な結果が得られ、ROC曲線による検討ではα値を0.1としたときのMD slope値による方法が検出力0.73と最も良好であった。以上より視野障害進行の判定は方法によって異なり、特にTDを用いた方法ではα値が高く出る傾向があるため、改善の余地があることが明らかとなった。以上の検討と同時に1039例の視野データを用いて作成した視野クラスター分割法を元に、新しい視野障害進行判定法の案出を行った。
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