2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞増殖因子(HGF)の網膜虚血-再灌流障害における発現と神経防御作用
Project/Area Number |
12771019
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渋木 宏人 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (70313864)
|
Keywords | 網膜 / 虚血-再灌流障害 / HGF / c-Met / 神経防御 |
Research Abstract |
1)ラット網膜虚血-再灌流障害モデルを用いて,再灌流後1,3,6,12,24,48時間後において眼球を摘出し網膜組織を採取し,全RNAを抽出した。抽出されたRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを作製した。HGFとHGFのレセプターであるc-metに対する特異的プライマーを作製しPCRを行った。競合的RT-PCR法を用いてそれらのmRNAの発現レベルを経時的に定量したところ,再灌流後6時間よりHGFとHGFのレセプターであるc-metの発現が認められた。 2)ラット虚血-再灌流障害網膜において,HGFとHGFのレセプターであるc-Metに対する抗体を用いてwestern blottingを行ないタンパクレベルでの発現を経時的に定量した。競合的RT-PCR法の結果と同様にHGFとHGFのレセプターであるc-metの発現が再灌流後6時間より認められた。さらに,その抗体を用いて免疫組織化学染色を行なったところ網膜内層に存在する細胞においてHGFやc-Metの発現が認められた。 3)ラット網膜虚血-再灌流障害モデルに対し硝子体中にrecombinant HGFを投与し,電気生理学的,組織学的(網膜内層厚の測定,TUNEL染色陽性細胞数の計測)にHGFの防御作用があるかを検討した。電気生理学的検査としては,虚血前と再灌流後1,2,4,7,14,28日にHGF投与ラットとコントロールラットにおいて網膜電図の記録を行い波形の振幅と頂点潜時の計測を行った。そして,同様に経時的に眼球摘出しパラフィン切片を作製後,網膜内層厚の計測とTUNEL染色を行いTUNEL陽性細胞数の計測を行った。再灌流後4日から、網膜電図の回復がHGF投与ラットにおいて有意に良好であった。また、網膜内層厚はHGF投与ラットにおいて有意に厚く保たれており、さらにはTUNEL陽性細胞数についてもHGF投与ラットにおいて有意に減少していた。
|