2001 Fiscal Year Annual Research Report
複合型培養皮膚移植による微小血管新生および表皮の細胞間接着に関する研究
Project/Area Number |
12771068
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石黒 匡史 北里大学, 医学部, 助手 (40265640)
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Keywords | 培養皮膚 / 培養表皮 / 血管新生 / コラーゲン / フィブロネクチン |
Research Abstract |
ウシ真皮由来のタイプIコラーゲンより作成したコラーゲンマトリツクス内にヒト線維芽細胞を組込み培養真皮とし、さらに角質化細胞を播種することにより表皮層と真皮層の二層構造を持つ複合型培養皮膚を作成した。またRheinwaldとGreenらの方法により培養表皮を作成した。それそれを20匹のヌードマウス(6週令、平均体重20g)の背部に作成した4平方cmの全層皮膚欠損創に移植し、移植後1週目、2週目に10匹づつドレッシングを除去して創面を観察し評価した。 生着率は複合型培養皮膚では、1週目で74%で、2週目では72%であったが、培養表皮では、1週目で58%で、2週目では46%であった。移植後1週目の移植部の組織観察では、複合型培養皮膚の表皮層ではスポンジ上面に角質化細胞が4〜5層に重層化を示し、その下層構造の真皮相当部では広範囲にコラーゲンスポンジ成分の残存を認めた。またスポンジに接して細胞浸潤と移植床側から真皮様の組織の侵入を認めた。移植後2週目では、角質化細胞層は7〜10層に厚さを増し重層化し、細胞個々の分化の状態も1週目に比較してより明瞭となり、コラーゲンスポンジ成分は移植床に吸収されほぼ消失し厚い真皮様組織とこれに侵入する微小血管の新生を認めた。培養表皮移植後1週目の組織観察では、角質化細胞が2〜4層に重層化を示し、移植後2週目では角質化細胞層は4〜6層に重層化した。免疫組織学的観察では、複合型培養皮膚のコラーゲンスポンジ層に置換された真皮部分は培養表皮の真皮層に比較して、フィブロネクチンの染色性の強い組織に置換され、またラミニン1は培養表皮では不明瞭であったが、複合型培養皮膚では移植2週目で組織で基底細胞の底面に沿い基底膜相当部に帯状に認められた。また微小血管の新生は複合型培養皮膚の真皮様組織内でより著明に認めた。
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