2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌細胞における癌抑制遺伝子p27^<Kip1>遺伝子導入による制癌効果
Project/Area Number |
12771085
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
工藤 保誠 広島大学, 歯学部, 助手 (50314753)
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Keywords | 細胞周期 / p27^<Kip1> / プロテアソーム / 口腔扁平上皮癌 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
遺伝子導入による増殖抑制あるいはアポトーシス誘導を検討するために、発現調節ベクター(Ecdysone-inducible Mammalian Expression System)を用いて、高いp27^<Kip1>タンパク分解能を有する口腔扁平上皮癌細胞に遺伝子導入を行った。この発現調節ベクターは、ponasterone Aという薬剤を投与すると目的の遺伝子が発現するもので、これを用いることによって、遺伝子発現による増殖抑制、アポトーシス、種々の遺伝子変化などを経時的に調べることができる。そこで、この発現調節ベクターに、野生型(WT)およびプロテアソームによる異常分解をうけない187番目のスレオニン残基をアラニンに変換したT187A mutant p27^<Kip1>を組込み、遺伝子導入を行うことによって、p27^<Kip1>遺伝子の癌に対する増殖抑制やアポトーシス誘導などの制癌効果について検討した。p27^<Kip1>WTおよびT187A導入により口腔扁平上皮癌細胞株の増殖が抑制され、細胞周期のG1期停止の誘導がみられた。アポトーシスの誘導はみられなかった。Ponasterone Aを24時間だけ投与し、p27^<Kip1>WTおよびT187Aタンパクを誘導し、その後培地を交換し、24、48、72時間後のタンパク発現の変化と増殖を調べたところ、p27^<Kip1>WTタンパクは72時間において分解がみられたが、p27^<Kip1>T187Aタンパクは分解はみられず、WTに比べ強い増殖抑制能を保っていた。以上より、p27^<Kip1>遺伝子導入は、口腔扁平上皮癌細胞に対する遺伝子治療として有用であるとともに、プロテアソームによる異常分解をうけないp27^<Kip1>T187A遺伝子導入が効果的であると考えられた。(以上の結果については現在投稿準備中である。)
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