2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原因菌が産生する細胞膨張壊死因子CDTの標的蛋白の同定とその作用機序の解明
Project/Area Number |
12771099
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
才木 桂太郎 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (30297973)
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Keywords | 口腔細菌 / 若年性歯周病 / 細胞壊死因子 / ネクローシス |
Research Abstract |
Actinobacillus actinomycetemcomi tans29522株が産生する細胞膨張壊死因子CDTは、上皮様細胞等の培養細胞に細胞膨張と細胞周期のG_2期停止を引き起こし細胞を壊死させる。CDTは多種の病原性細菌においても同定されているが、本菌由来のCDTを含めて何れのCDTもカラムクロマトグラフィ等を用いた通常の方法での精製は困難であり、CDTのholotoxin構造は明らかにされていなかった。そこで、CDTをアフィニティ精製するために、アフィニティ精製用蛋白[グルタチオンS-トランスフェラーゼまたはインテイン蛋白-キチン結合ドメイン融合蛋白(Int-CBD)]をコードする遺伝子を導入したcdtB遺伝子を含むcdtABC遺伝子を構築したが、何れの生成産物も組換え大腸菌内で凝集してしまいアフィニティ精製は不可能であった。しかし、シグナル配列領域を欠失したCdtB蛋白のC末端にInt-CBDを融合したキメラCdtB蛋白(CdtB-Int-CBD)は単独で大腸菌内で発現出来たので、CdtBの代わりにCdtB-Int-CBDを含むCDTをin vitroで再構成させてから、その再構成CDTをアフィニティ精製によって精製した。CDTの再構成の条件はcdtA,cdtB,cdtC遺伝子を個別に発現させた組換え大腸菌由来の粗抽出液を用いて詳細に決定した。CdtB-Int-CBDを含む再構成CDTを、キチンビーズを用いて単離し(CDT結合カラム)、Int-CBDをインテインの蛋白スプライシング作用によってCdtB蛋白から切断させて再構成CDTを精製した。精製した再構成CDTは、非常に高い細胞膨張およびG_2期停止活性を示し、約1:1:1のモル比のCdtA,CdtB,CdtC蛋白より構成される複合体であった(論文投稿中)。現在、CDT結合カラムを用いて培養細胞におけるCDTの標的蛋白の同定を行っている。
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