2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜細胞から硬組織形成系細胞への分化制御機構の解析
Project/Area Number |
12771103
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉澤 達也 新潟大学, 歯学部, 助手 (40313530)
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Keywords | 歯根膜細胞 / 骨芽細胞 / セメント芽細胞 / 硬組織 / 石灰化 / 細胞分化 / 細胞生物学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
申請者らは、歯根膜細胞から硬組織形成系細胞への分化制御機構を解明する目的で、SV-40 T-antigen導入マウスより数種類の均一な歯根膜細胞株の単離を行い、以下の検討をした。 1)単離した歯根膜細胞株の一つであるPDL-2の性質を検討するため、骨芽細胞分化マーカー遺伝子群の発現をRT-PCR法にて検討した結果、その遺伝子発現パターンは、in vivoの歯根膜細胞の遺伝子発現と全く同じであった。又、PDL-2は石灰化促進培養液内においても石灰化ノジュールを形成しないが、BMP-2の刺激においては若干の石灰化ノジュールを形成した。in vivoにおける歯根膜細胞とPDL-2は、Cbfa1/Osf2を発現しているが通常石灰化せず独自の機能を有していることから、歯根膜細胞には骨芽細胞への分化抑制機構が存在している可能性が考えられた。現在、この分化抑制機構を中心にさらに詳細な検討を行っている。 2)歯根膜細胞特異的遺伝子の単離を目的として、PDL-2と分化段階初期の骨芽細胞株(MC3T3-E1)の両者の遺伝子発現の差を利用したDNAアレイ法を試みた。約一万遺伝子の検索の結果、両者で発現量の異なる遺伝子が少なくとも100種類程度見い出された。現在、取得した候補遺伝子群の発現特異性をRT-PCR法とin situ hybridization法により検討し、更にこれら遺伝子群の構造や機能を解析している。 3)歯移植後の歯周組織の正常な修復には、歯根膜の再生が必須であることは臨床的にも良く知られているが、現在でも歯移植時の各歯根膜細胞の動態は十分に明確ではない。この点を明らかにする目的で、まず恒常的にβガラクトシダーゼを発現するPDL-2を作成した。今後、このlacZ発現PDL-2をマウス歯移植時に同時に移植し、時間を追って歯周組織の解析を行い、移植歯根膜細胞株の動態を検討する。
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