2000 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロキャリアー培養法を用いた歯根膜組織の再構築
Project/Area Number |
12771138
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平田 政嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70312593)
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Keywords | 人工歯根 / 歯根膜 / 歯根膜線維芽細胞 / 組織工学 / マイクロキャリア / セメント質 / 組織再生 / scaffold |
Research Abstract |
現在広く臨床応用されている人工歯根(インプラント)は、天然歯根と違いその周囲に歯根膜を有しないため、様々な問題が存在している。そこで、歯根膜由来培養細胞を用いて人工歯根周囲に歯根膜を再構築する必要がある。近年、付着依存型細胞の大量培養法としてマイクロキャリアー培養法が開発・応用されてきている。本研究では、マイクロキャリア培養法を用いて歯根膜細胞の量産化を図り、組織構築の際の足場(scaffold)としての可能性を検索することを目的としている。また、チタンなどの人工歯根に培養細胞を応用した場合の組織学的変化を解明するため、ビーグル犬を用いて組織学的ならびに免疫組織化学的に検討した。 1.マイクロキャリアに歯根膜由来線維芽細胞が応用可能であるか否かを検索したところ、血清濃度やスピナフラスコの回転数を調整することによって培養が可能であり、細胞量産化も可能であることが判明した。 2.マイクロキャリアを細胞の足場および移植担体として利用するためには、その材質に関しても検索しなければならない。今回コラーゲンゼラチン製の多孔性マイクロキャリアに関して検索し、歯根膜線維芽細胞が応用可能であることが判明した。 3.歯根窩洞に培養歯根膜由来線維芽細胞およびチタンを挿入した際の歯周組織の反応を検索するために、イヌ歯根窩洞に培養歯根膜線維芽細胞とチタン片を播種・埋入した。その結果、埋入されたチタン片と窩底面の間に、新生セメント質様構造物の形成を伴う歯根膜様軟組織および新生骨様組織が形成されていた。形成されたセメント質様構造物は有細胞セメント質様構造物であり、無細胞セメント質の再生には至らなかった。これらの観察結果より、播種した培養歯根膜線維芽細胞には、新生骨組織を伴った歯根膜組織をチタン片上に再構築しうる可能性が示唆された。また、培養細胞をBrdU標識することにより、窩洞内に播種細胞が3ヶ月間残留していることが証明された。 4.マイクロキャリアは細胞の足場(scaffold)として応用可能であり、今後は生体内への移植方法やマイクロキャリア上での細胞の特性についての検討が必要であると思われた。
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[Publications] 岩松洋子,平田政嗣 ら: "歯根修復に関する研究 第7報 イヌ歯根窩洞への培養歯根膜由来線維芽細胞の播種による歯根膜およびセメント質形成の可能性"日歯保存誌. 43(2). 555-563 (2000)
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[Publications] 平田政嗣,岩松洋子 ら: "歯根修復に関する研究 第8報 イヌ歯根窩洞への培養歯根膜由来線維芽細胞の播種およびチタン片の埋入"日歯保存誌. 43(3). 738-746 (2000)