2000 Fiscal Year Annual Research Report
感染根管におけるPorphyromonas endodontalisの病原的意義
Project/Area Number |
12771149
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
関根 慶子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (70316397)
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Keywords | 感染根管 / 根管内細菌 / Porphyromonas endodontalis |
Research Abstract |
感染根管の細菌叢に関する研究では、病原性を有する根管内細菌の主体は嫌気性菌であること、また臨床症状を有する感染根管ではPrevotella/Porphyromonasといった黒色色素産生菌の分離頻度が高いことが報告されている。そこで本研究は、黒色色素産生菌の病原的意義を検討する目的で、非開放性感染根管より根管内細菌を分離、同定し、嫌気性菌および黒色色素産生菌の感染状況、臨床症状との関連性について検討した。岩手医科大学歯学部附属病院第一保存科を受診した患者の非開放性感染根管の根管内感染象牙質削片を採取し、得られた試料を、血液寒天培地およびヘミンとメナジオンを含む血液寒天培地で、嫌気的条件下(5%H_2,5%CO_2,90%N_2)、37℃、7日間培養を行った。被験30歯、30根管より分離した根管内細菌の総菌株数は、総計69菌株で、1根管あたり0〜6菌株、平均2.3菌株であった。また、総菌数は1根管あたり4.9×10^4CFUであった。14属30種の根管内細菌が同定された。各細菌属の割合(占有率)は、Bacteroides属、Streptococcus属、Actinomyces属が高い値を示し、Prevotella属やPorphyromonas属は低い値を示した。総菌株数あるいは総菌数について各種臨床症状との関連性を検討した結果、臨床症状の有無による差は認めなかった。しかし、Prevotella属やPorphyromonas属の細菌は主として自発痛などの臨床症状を認める根管から検出された。歯周ポケット内と比較して、菌数、菌株数とも少ないながら、感染根管内の根管内細菌の主体は嫌気性菌であることが強く示唆された。また、黒色色素産性菌であるPrevotella属やPorphyromonas属の細菌は臨床症状のある根管から検出されたことから、臨床症状の発現に関連することが示唆された。
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