2001 Fiscal Year Annual Research Report
共焦点レーザ顕微鏡によるヒト歯髄由来培養線維芽細胞の細胞内カルシウムの動態
Project/Area Number |
12771153
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
宮里 尚幸 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (80307959)
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Keywords | 水酸化カルシウム / 歯髄細胞 / アルカリホスファターゼ / オステオカルシン / オステオネクチン / オステオプロテゲリン / BMP / 培養細胞 |
Research Abstract |
水酸カルシウム(Ca(OH)_2)を培地(10%ウシ胎児血清含有D-MEM/F-12)に添加し、ヒト歯髄培養細胞のアルカリホスファターゼ(ALPase)活性、オステオカルシン(OSC)、及びオステオネクチンに及ぼす影響を調べた。さらにALPase、OSC、オステオプロテゲリン(OPG)、BMP2、BMP4、およびBMP7の遺伝子の発現について検討を行った。 1)蛋白量は培養21日目までは増加し、それ以降は減少した。Ca(OH)_2濃度0.01%の添加は、すべての培養日数において、無添加の場合より低い値を示した。ALPase活性は培養14日目で最も高い値を示し、Ca(OH)_2はALPase活性を増加させた。 2)OSC量は培養28日目で増加し、オステオネクチン量は減少し、Ca(OH)_2による抑制が認められた。 3)ALPase遺伝子の発現は、各濃度で認められ、OSCではCa(OH)_2濃度0.03%で強い発現が認められた。 4)BMP2遺伝子は、Ca(OH)_2濃度0.003%で経日的に増加傾向を示したのに対して、0.03%では抑制傾向が認められた。BMP4遺伝子は、0.03%で抑制傾向を示した。また、BMP7遺伝子の発現は、Ca(OH)_2濃度0.03%で認められた。 5)OPG遺伝子の発現は、0.03%で抑制傾向を示した。 ヒト歯髄培養細胞にCa(OH)_2を作用させることにより、ALPase活性、OSC量が上昇すること、また遺伝子発現の傾向とほぼ一致していることが明らかとなった。さらにCa(OH)_2の濃度変化により、骨誘導因子であるBMP2、BMP4および破骨細胞生成阻害因子であるOPGの遺伝子発現と、BMP7および硬組織形成抑制遣伝子であるOSCで異なった発現傾向を示すことが示唆された。
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