2000 Fiscal Year Annual Research Report
1分子内に重合性基と疎水基を有するシランの開発と効果
Project/Area Number |
12771157
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
二瓶 智太郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (50237781)
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Keywords | フルオロアルキルシラン / 引張接着強さ / ぬれ性 / 耐水性 |
Research Abstract |
研究実施計画に基づき,新規シラン処理剤を種々合成し,その処理剤の効果を評価した.処理剤の効果は,ガラス面に対するコンポジットレジンの接着強さ(日本歯科保存学雑誌第39巻,P218-226,1996.)と同様に行い,3-MPS単独処理剤と比較,検討した.その結果, 1.合成した新規シラン処理剤は,^1H-NMR,FT-IR,Massにより目的物である1分子内に重合性基と疎水基であるフルオロアルキル基をもつシランカップリング剤であることを確認した.また,フルオロアルキル基の鎖長の違う4種(MA5bF,MA7bF,MA9bF,およびMA11bF)のシランの合成に成功した. 2.上記した合成した新規シラン処理剤を用いて,市販並板ガラスに処理を施し,コンポジットレジンの初期接着強さを水中保管およびサーマルストレス後に計測した結果,MA5bF>MA7bF>MA9bF>MA11bFの順で高かったが,3-MPSと比較してMA5bFを除き有意に低い値であった(P<0.05).また,ガラス面処理後に加熱してからコンポジットレジンを接着した試料も同様な結果であったが,サーマルストレス後においてMA5bFは3-MPSと比較して有意に高い接着強さを維持したことより,フルオロアルキル基の鎖長が重合性基と同等に近い方が,カップリング層とレジンマトリックスとの相溶性が増し,フィラーとベースレジンの親和性が高められ,さらにカップリング層の疎水性が向上したことが示唆された. 以上より,フルオロアルキル基の鎖長が重合性基と同等な新規シラン処理剤は,特に加熱処理を施すと3-MPSと比較して有意に高い接着強さが得られ,しかもカップリング層の耐加水分解が向上し,耐水耐久性が良好であったと考えられた.
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Research Products
(1 results)