2000 Fiscal Year Annual Research Report
ラットの実験的根尖病変の形成における神経ペプチドの作用について
Project/Area Number |
12771161
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
柴田 直樹 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (60291770)
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Keywords | 根尖病変 / CGRP / SP / 病理組織学 |
Research Abstract |
近年、CGRPやSPなどの神経ペプチドが骨芽細胞や破骨細胞に作用し、局所における骨代謝の調節に直接関与している可能性が示されている。さらに、炎症時の血管新生、透過性亢進に影響を及ぼし、好中球やマクロファージの走化性および貪食能を高めることが示唆されている。本研究において、平成12年度はラットの臼歯を実験的に露出し、歯髄炎および根尖病変を惹起させて酵素組織学的ならびに免疫組織化学的に検索した。その結果は以下に示す。歯髄穿孔後7日:露髄直下には壊死層がみられ、その下の歯髄組織には強い炎症性細胞浸潤が認められた。根尖部歯根膜組織には軽度の炎症性細胞浸潤がみられ、根尖部歯槽骨には、部分的に吸収が認められた。破骨細胞マーカー酵素である酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TRAP)陽性細胞は、根尖部の歯槽骨においてわずかに認められた。露髄直下の歯髄組織には好中球およびマクロファージが多数認められた。しかし、根尖部歯根膜組織には好中球およびマクロファージはわずかしかみられなかった。 歯髄穿孔後14日:歯冠側1/2の歯髄組織は壊死に陥り、根尖側1/2の歯髄組織と根尖部歯根膜組織には、7日よりも強い炎症性細胞浸潤が認められた。根尖部歯槽骨の吸収は、7日よりも強くなっていた。TRAP陽性細胞は7日より多くみられた。根尖側1/2の歯髄組織と根尖部歯根膜組織には7日よりも多くの好中球およびマクロファージが認められた。 歯髄穿孔後28日:根部歯髄は全体的に壊死に陥り、根尖部には膿瘍が存在し、根尖部歯根膜組織の炎症性細胞浸潤と根尖部歯槽骨の吸収は、14日よりも強くなっていた。好中球およびマクロファージは膿瘍周囲を中心に多数存在していた。 これらのことから平成13年度は、CGRPやSPの局在を検索し、それらが炎症過程において好中球およびマクロファージ、骨系細胞におよぼす影響を検討していく予定である。
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