2001 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカル・ストレスによる骨吸収の発現に関する免疫組織学的検討
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12771178
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
衣田 圭宏 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50314696)
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Keywords | メカニカル・ストレス / 骨吸収 / 実験用加圧義歯床 / 免疫染色 / 義歯床下組織 / ラット / オステオポンチン |
Research Abstract |
当講座で開発した実験用義歯を用いて義歯床下組織に規定した大きさのメカニカル・ストレスを加えて,これに伴う骨組織周囲の経時的な変化を観察し,メカニカル・ストレスから骨吸収が誘発されるまでのシグナル伝達を明らかにすることを目的とした. 実験動物には15週齢ウィスター系雄性ラット160匹(1群40匹×4群)を用いて上顎臼歯に金銀パラジウム合金製のメタル・フレームを接着性レジンを用いて装着した.メタル・フレームに設置した維持装置を利用して,臼歯部口蓋に対して0,1.0および10.0kPaの大きさの持続的なメカニカル・ストレスを加える義歯床を装着した.義歯非装着群1群は処置を施すことなく経過させた. 義歯床装着後1,2,3,5,7,10,14および21日に各群の5匹ずつの動物を屠殺して口蓋組織を採取,4%PFAによる固定,10%EDTAによる脱灰ののち通法に従ってパラフィン包埋し,第1臼歯部における前頭断的な4μmの切片を作成,H-E染色,OPNの免疫染色,TRAP染色を行った. 10kPa加圧群の義歯床下骨組織は,義歯床装着3日後までは組織変化を示さなかったが,5日後には骨面に破骨細胞が出現してTRAP陽性を示し,吸収窩が形成された.破骨細胞ならびに吸収窩は,7日後には5日後よりも増加したのち軽度に減少した. OPNは,10kPa加圧群の義歯床下骨組織では,義歯床装着3日後に初めて骨組織表層における一部の骨細胞に軽度に発現し,5日後にはさらに強度となり,吸収窩骨面にも発現した.その後OPNの発現は経時的に減少し,7日後には一部の吸収窩骨面に認められるのみとなり,10日後には消失した. 1kPa加圧群および義歯非装着群では,臼歯部口蓋骨には観察期間を通じて破骨細胞およびOPNの発現は認められなかった. 以上のことから,持続的圧力下の義歯床下骨組織では,OPNは破骨細胞よりも早期に骨組織表層の骨細胞に発現し,持続的圧力による骨吸収に関与することが示唆された.
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Research Products
(1 results)