2000 Fiscal Year Annual Research Report
器質的原因による摂食・嚥下障害に対する歯科補綴学的リハビリテーションに関する研究
Project/Area Number |
12771186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松山 美和 九州大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30253462)
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Keywords | 摂食・嚥下障害 / リハビリテーション / 口腔機能 |
Research Abstract |
近年、要介護高齢者や脳血管障害患者の摂食・嚥下障害とそのリハビリテーションが注目されているものの、脳卒中などにみられる機能的原因ばかりが問題視され、口腔腫瘍術後などにみられる器質的原因はあまり重要視されていないのが現状である。歯科学的に口腔という器官に注目した場合、準備期と口腔期の障害に起因する摂食・嚥下障害に対しては歯科学的リハビリテーションの必要性があると考えられる。そこで本研究は、以下の3つを目的とした。 1.実際の患者を対象に、顎義歯、PAPやPLなどによる歯科補綴学的リハビリテーションによる、咀嚼機能および嚥下機能の客観的評価および主観的評価を行い、補綴装置の有用性を明確にすること。 2.口腔の器質的原因による摂食・嚥下障害に対して、PAPやパラタルリフトなどの装置を応用した歯科補綴学的リハビリテーションを行っている機関や病院が、どの程度あるか、またどのように行われているかを明確にすること。 3.リハビリテーションを受けた患者群と受けなかった患者群の、食生活および全身の健康状態を追跡調査を行い、歯科補綴学的リハビリテーションの有用性を明確にすること。 今年度は、当院に登録されている口腔腫瘍術後患者のうちの61名(上顎欠損32名、下顎欠損16名、舌欠損13名)を対象に、コントロールとして総義歯装着患者32名に摂食・嚥下を含めた口腔機能に対する主観的評価(患者の満足度)を行い、以下の結果を得た。 1.対象が最も重要と考える口腔機能は、上顎欠損群では摂食・嚥下であり、下顎、舌欠損群では同等に発音・構音も重要視していた。 2.顎義歯装着により口腔機能に対する満足度は、上顎欠損群では全般に改善され、下顎、舌欠損群では改善されない機能もあった。 3.対象の口腔機能に対する満足度は、総義歯装着患者のそれより全般的に低かった。 次年度は、他機関にアンケート調査を行い、広域調査を行う予定である。
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