2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用合金から溶出した金属成分の血中への移行量測定の試み
Project/Area Number |
12771189
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 茂 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90227900)
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Keywords | アレルギー / 歯科用合金 / 溶出 / 蛍光X線分析 |
Research Abstract |
口腔内に存在する金属修復物と、血液中の金属濃度との相関関係を見いだすことは、歯科用金属アレルギーの発症機序を解明するうえで大変重要である。そこで本年度は、口腔内金属修復物から溶出した金属元素を検出するのに必要な末梢血量の決定を目的とした研究を行った。 十分なインフォームドコンセントのもとに、健常人2名から抹消血5mlの採取および口腔修復物に使用されている合金種の同定を行った。採取した抹消血を遠心分離し、血漿成分、血球成分に分け、各々を凍結乾燥して蛍光X線分析用試料とした。 蛍光X線分析はSEA2110L (セイコーインスツルメント社製)を使用し、管電圧は50kv、15kv、5kvの3条件とし、真空下で各管電圧ごとに180secの測定を行った。管電流は適正なdead timeが得られる値に設定した。 2名の被験者の口腔内金属修復物はともに銀アマルガムと金銀パラジウム合金であった。血漿試料および血球試料より検出できた元素はP、S、Cl、K、Ca、Fe、Zn、Brであった。 いずれの試料においても、適正なdead timeが得られる管電流は、分析装置の最大電流値である500μAに達しなかったことから、本装置を用いた成分元素の同定には5mlの採血量で十分であることが示された。血球試料からZnが検出されたが、これが赤血球に由来するのか被験者の口腔内金属に由来するのかは不明である。また、Zn以外の口腔内金属成分元素が全く検出されなかったことから、血中に移行した金属成分の濃度が分析装置の検出限界より低いか、あるいは健常者と金属アレルギー患者では金属成分の血中への移行量に差があることを示唆したものと考えた。 次年度は、より精度の高い分析方法の検討も含めて、健常人と金属アレルギー患者での金属成分の血中への移行量の比較を行う予定である。
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