支台築造におけるポスト孔処理方法の違いによる保持力の比較

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12771206
• Research Institution: Tsurumi University
• Principal Investigator: 坪田 有史 鶴見大学, 歯学部, 助手 (30267538)
• Keywords: 支台築造 / レジン支台築造 / 保持力 / ポスト孔 / 引き抜き強さ / 接着性レジンセメント

Research Abstract

目的は,支台築造においてポスト孔に機械的,化学的な各種合着前処理条件を与え,簡便に臨床で用いられ,築造体のより高い保持力が得られる術式を検討することである.今年度は昨年度に引き続き,臨床で築造窩洞形成後,装着されるポスト付きテンポラリークラウン(仮ポスト)により,その際使用される仮着材がその後の各種合着用セメントによる保持力への影響について接着耐久性を含め検討した.なお,昨年度から仮着用および合着用セメントの種類を追加し,さらにポスト孔内被着面を走査型電子顕微鏡により観察し,比較した.
ポスト孔における保持力の測定は,既製ポストの引き抜き試験で行った.条件は,仮着用セメントをフリージノールテンポラリーパックとハイボンドテンポラリーセメントハードの2種類を使用して仮ポスト仮着の有無と,ポスト孔清掃方法は4条件で,A:探針,B:探針→アイデントブラシ,C:探針→アイデントブラシと25μm酸化アルミニウム粒子,D:探針→ADゲル法とした.合着用セメントは4種類でリン酸亜鉛セメンドと接着性レジンセメント2種類,支台築造用コンポジットレジンとした.
その結果,1)探針のみの清掃方法では,仮着材が残余し,清掃が不十分であった.2)機械的および化学的処理法により,仮着材の除去に有効な処理法があった.3)接着耐久性は,概してサーマルサイクル試験により引き抜き強さが低下した.しかし,仮着材ハイボンドテンポラリーセメントハードの方がフリージノールテンポラリーパックより影響を受けにくい傾向があった.4)機械的および化学的処理法により,被着面の性状が著しく異なっているが,引き抜き強さに有意差を認められない場合もあり,さらなる詳細な検討が必要である.現状では被着面の性状を大きく変化させることなく,ある程度の引き抜き強さを得ることが可能な機械的処理法である条件Cが臨床的に簡便で有効と思われる.