2000 Fiscal Year Annual Research Report
口顎感染症におけるT細胞の分化誘導の基礎研究と治療法の模索
Project/Area Number |
12771221
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 良明 広島大学, 歯学部, 助手 (80263721)
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Keywords | Th細胞 / IL-10 / 感染症 / IL-1R / カラゲニン |
Research Abstract |
炎症に対するIL-10の生物学的役割を明らかにするために、カラゲニン誘発の炎症マウスにおける病態分析とIL-10の作用効果を検討し、臨床応用への可能性を模索した。 1)8週齢のBALB/cとC3Hマウスの咬筋部皮下に各種濃度のカラゲニンの注入により、発炎させた。経時的に腫脹径、末梢血の白血球数、末梢血のTh細胞の分化を検索し、両マウス群はともにカラゲニンの濃度依存性に腫脹は増大し、2日後に最大となった。また、血中Th細胞をフローサイトメーターで検索し、発炎1日後からIL-1Rは陰性側に移動し、3〜7日後にはその移動量は最大となった。2週後からIL-1Rは陽性側へ移動し、3〜4週後には元の状態に復した。 2)カラゲニン注入の12時間後にIL-10の0.05,0.1と0.2μgの各量を投与した結果、発炎3日後の生存率はC3Hマウス群では、IL-10非投与群では68%であったが、IL-10の0.05μg投与群では90%、0.1と0.2μg投与群では100%(P<0.05)で、生存率は上昇した。また、BALB/cでも同様に、生存率が改善した。 3)8%カラゲニンで発炎させたC3HとBALB/cマウス群の発炎12時間後にIL-10の0.2μgを投与し、その血中Th細胞のIL-1Rを解析すると、両群ともに発炎3日後からIL-1R強陽性側に細胞集団が発現し、1週後にはその細胞群は増加した。2週後にはほぼ元に復し、また同時に腫脹もほぼ消退した。 以上を総合すると、IL-10の投与により発炎時にはTh細胞がTh1への過剰な分化を抑制され、腫脹程度と腫脹期間が有意に縮小や減少することが判明した。
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